ろくなもんじゃねぇ
◼□◼□◼□◼□
目が覚めた時、時刻はすでに夕刻であった。
(腹が減ったな…)
そろそろと起き上がる。
(ん?身体が重い…)
頭を振って立ち上がる。
(夢では無かったか…)
目の前の壁が綺麗に崩されてい事に気付いた。
(何か知らんが、あまり係わりたくない輩だったな。まっ、もう会うこともあるまい…)
暫く後、壁に何やら紙のような物が張られていることに気付いた。
文章が数行に渡り書かれ、最後に蛇のような紋章が押されている。
(なんだこれは?誰がこんなもの書いたんだ…?)
思い浮かぶのはもちろんあの趣味の悪い衣服を着た自称魔族…。
(やれやれ。
これはもしかせずとも、俺宛だろうな)
ただ、残念なことに俺はこの世界の文字を知らない。
(無視して去るか?
ただ、何か嫌な予感がするな…
読める人を探すのも手間だしどうするか。)
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結局俺は読める人を探すことになった。
理由はと言えば、時間が経つにつれ心臓を締め付ける痛みが出てきた為である。
(蛭はもういなくなった筈……。
ならこの痛みはいったい……?
可能性は……やっぱりあの女……だな……
ただ無視して寝ていただけで、こんなことするか……普通……)
街道沿いの一番近い村へと向かうことにした。
街道を帝都方面に向け歩いていくと半日ほどで
中規模の村へとたどり着いた。
村への通行は検問所などなく簡単に入れる。
(帝都に近づいたわりに簡単に入れるもんだな。いや逆か。帝都への物流を阻害しないようにしているのか。)
案の定村の店には文字らしきものはなく、代わりに何の職業か一目で分かるような図章が各々の看板に描かれている。
俺はそれをを一つ一つ見ていくことにした。
(識字率が高そうなのは……やはり教会とか役所とかか?
まて……教会ってあの紋章(十字架)じゃあないよな……)
方針を変え、道行く老人に教会の場所を聞くと
あっという間に着くことがてきた。
中に入るとニコニコ笑いながら小太りの神父らしき男が近づいてくる。
「信徒の方ですか?」
俺は正直に違うと答えると共に、文字が読めないので何が書かれているか教えて欲しいと頼んだ。
「お安い御用です。顔色も悪いようなのでお座り下さい。神の家は常にその門が開かれています。私で宜しければ手助けいたしましょう。」
そう言って紙を受け取り……
蛇の紋章に眉をひそめ、文章を読み始めると真っ青になった。
「大変だ……村長を呼ばねば」
そう言うと、神父は慌て教会を出ていった。
(ろくでもない予感しかしない)
俺は頭が痛くなった。
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