カプッ

『ポロモ』


(頼む出てきてくれ……)


祈るような気持ちで呼び掛ける。


(駄目か……。でも他に方法が無い。)


『ポロモ、ポロモ、ポロモ、ポロモ、ポロモ、ポロモ、ポロモ』

ひたすら呼び掛ける。


他に方法が無いと言う切迫感から必死だった。


『こんな遅くに誰?』


不意に頭に声が響く。

(繋がった)


『こないだ山の中で会った隼人だ。名前教えてくれただろう?』


『え~?誰?』


『隼人』


『ん~誰だっけ?

夜は苦手……だし。話なら明日にして』


『頼む。今すぐ助けてくれ』


『え~なんで?

今は夜~ 寝る時間だよ~。

嫌だ~。

じゃ、切るね~バイバイ』


『噛って良いから……』


『何を?』


『マナ。こないだ癖になりそうだと言っていたろう?』


『あっ、雑味とえぐみのある?』


『そうそう』


『癖になりそうな?』


『そうそう』


『…………

ん~。

もう夕ごはん食べたし~』


(こいつ……)


『助けてくれたら、好きなだけ齧っていいから…………死なない程度に……』


『いく~』


そう頭に響くと、目の前にこの間の太ったノームが現れた。


『どうすればいいの?』


『俺の周りを土の壁で囲って……くれ。魔獣が乗り越えられない高さで。足掛かりが無いくらいに表面をツルツルにして……』


『イエッサー』

そうポロモは言うと

手を下から上に向け何度も振り上げた。

振り上げる度に地面は隆起していく。


(助かった……)


(もういい?)


(見上げる体力もない……ポロモ的にはどう思う?)


(頑張ったから大丈夫だよ~)


(なら、オーケーだ。)


(じゃあ、約束通り……いただきま~す)


カプッ


そして俺はこの世界何度目かの闇に落ちていった。






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