あとがき


最初の話となる『聖母を背負った半端者』いかがだったでしょうか?

この小説は、主人公であるウルフの回想という形で書いています。賞金稼ぎを生業とするハンターと呼ばれる仕事をしており、その中でも有名な高ランクハンターという設定です。

今回の話は、そのウルフの押しかけ子分であるピートがなぜウルフについて行ってるのかを書きました。


実はこのお話には元ネタがありまして……、大衆演劇というジャンルの演劇でよく上演される、『地蔵の宇之吉』という定番のお芝居がありまして、そのお芝居の主人公の宇之吉にピートを、名を騙られるヤクザ者の親分にウルフをあてがってみました。


この『地蔵の宇之吉』の話の筋はほぼ残したままにしています。細かい部分では、婆ちゃんが元ネタではお母さんだったり、本来はそのお母さんのところへ行くために親分に殺されるのを待って欲しいと頼む時に、自分の小指を落として逃げない証とするシーンを無くしたりはしました。

その代わりに敵役に腕を斬られてしまうという件を付け足したりしましたが。

主人公の宇之吉はタイトルの通り、地蔵の彫り物をしているのですが、そこも地蔵を聖母像に変えています。


大衆演劇では、劇団の数だけ同じお芝居でもやり方が違う事が多いです。宇之吉がそもそも最後に死んじゃう場合もありますし。でもそこが大衆演劇の面白い所でもありますね。


そもそも私がなぜこの様な形でお話を綴ろうと思ったのかですが、私の職業も関係しておりまして……。


私は大衆演劇専門の劇場で、舞台裏方として色んなお芝居に関わらせて貰っています。基本は時代劇、ちょんまげに刀を持ってチャンチャンバラバラなイメージです。もちろん殺陣の無い人情劇や喜劇も沢山あります。

ですが、やはり定番の、義理と人情の旅芝居の良さを、男心に男が惚れるお話を、お芝居の面白さを伝える手段としてこの様な形を試してみたという次第です。


一応、自作の大衆演劇の台本を小説におこした『仏の顔』というオリジナル時代劇をアップしているのですが、やはり時代劇という事で馴染みのない人が多いのかなと思います。

ですので、大衆演劇のお芝居の面白さをとっつきやすそうな設定に変えて書いてみたらどうだろうというのがキッカケですね。


あと、「小説家になろう」に登録した時に何気なく読んだ『異世界落語』に多分に影響されています(笑)

古典芸能の面白さをわかりやすく楽しく伝えている作品として、読者として凄く楽しませて頂きました。


この小説も、まだまだ拙い文章ではありますが、「時代劇見てみようかな」と思ってもらえるような作品に出来たらいいなと思います。


次回は何を元ネタにするかまだ迷っていますが、素晴らしいお芝居はいっぱいありますのでじっくり考えようと思います。


お読みいただきありがとうございました!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

WOLF’S MEMORY @akira-take

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ