21:捕らわれの身

「入れ」


 まるで典型的な捕り物劇のような言葉と共に、ジュードとカルスは地下牢に突き飛ばされ、入れられた。

 杖は奪われ、ローブに入れてあった法具マテリアルも没収。当たり前ながら、丸腰状態である。

 牢屋に鍵をかけると兵士は立ち去った。軽く調べたが、カギは最新式らしく、ピッキング程度では開けられそうになかった。


「あー、くそっ」


 吐息ついでに文句を言う。相手はいないが、言わずにはいられなかった。

 おそらく、遠からずジュードは殺される。捕えたのは、兵士たちの前ゆえに仕方なく。誰も見ていない場所ならば、すぐさま心臓に剣を差し込まれていただろう。

 悔し紛れに壁を蹴る。答えは硬く冷たい感触だけだった。

 カルスは状況の展開についてこられていなかった。心配そうにこちらを見ているものの、何も言ってこない。

 どうしたものか。

 旅の途中で命を落とすなど、ジュードには論外だ。既に帰ってこいと言われているし、手土産になるだけのクエストもこなした。こんなところで殺されては、死ぬに死にきれない。

 それに、カルスもいる。銀龍族シルバードラゴンの子供だということ関係なしに、自分に巻き込まれて命を奪われるなど許せるはずもない。

 壁を二度、三度と蹴る。硬さに反して軽い音が、牢屋の中で小さく響く。

 どうやって牢屋を破るか。

 全力で考えなければならない。人の命まで利用する外道に殺されてなるものか。

 ジュードが額に手を当て考え込むと、不意に動揺する声が飛んできた。


「だ、誰だ?」


 怯えた、気弱そうな声だった。


「と、隣の奴か?」


 先客がいたらしい。考えに集中するあまり、気が付いていなかった。


「そうだよ、センパイ。今日からよろしくな」


 投げやりな返事をすると、動揺した声は、さらに震えて戻って来た。


「そ、その声は、こ、子連れの法術師ウィザードか?」


 子連れの法術師ウィザード、という名前はジュードの意に反して広まっているようだ。決してジュードの子ではないのだが。

 と、考えて、ジュードは首を捻った。


「あんた、どこかで俺と会ったことあるのか?」


 いくら名が売れていたとしても、声だけでジュードと判別できる者は少ないだろう。

 先客の声を、ジュードは覚えていない。すると、相手はどもりながらも伝えてきた。


「わ、私はこの街の学院の教授だった、ド、ドネリーだ。ヘイルウッドの店で、会ったことが、ある」

「ヘイルウッド……。ああ」


 そう言われてみれば、あのいけ好かない商人の店ですれ違った男のことを思いだした。顔までは思いだせなかったが、


「学院の教授さんだったのか。あんたはなんでこんなところに?」


 学院の教授はそれなりに地位のある方に入る。牢屋にいるには珍しすぎる。


「何か、危ない研究でもやったのか? 街一つ吹き飛ばしそうな」

「ち、違う。私の研究は、法具人形オートマタだ」


 言われて思い浮かべるのは、領主の部屋で戦ったあれだ。


法具人形オートマタってことは、領主のためにあんたが作ったのか。手ごわい相手だったよ、まったく」


 皮肉たっぷりに言ってやった。それをどう聞いたか、ドネリーの声は落ち込んだ。


「違う。い、いや、領主のためというのは間違っていない。だが、違うんだ」

「何が?」

「私は、研究を、領主に奪われた。だから、取り返すために、来たんだ」


 奪われた、とジュードはオウム返しに言い、


「話が見えねえな。それとあんたが牢屋にいるのと、どんな関係がある?」


 ドネリーが言うには、こうだった。

 研究を強奪されたドネリーは、領主に抗議に行ったらしい。最初は軽く追い払われた。二度目も同じ。ならば、と学院に辞表を出し、別の街の学院に行こうとしたところで機密漏洩の罪で捕まったという。


「……結構、無茶するねえ、あんた」

「わ、私は自分の研究は自分で完成させた、かった」


 研究者にしか分からぬ意地というものか。素直に感心する。

 なるほどね、と返事をしながら、ジュードはふと気になる単語があったと思い返す。


「完成させたかった……。ってことは、まだ未完成なのか、あれ?」


 問うと、


「そ、そうだ。そうなんだ」


 壁越しにでも、うなずいている様子が分かる声だった。


「あれは、素材の強度が問題だ。動力となる法力マナの供給源も、足りない。命令だって、たくさんは、聞けない」


 それに、とドネリーは続け、


「術式回路のせいで、動力炉、ほ、宝石だが、それがむき出しになっている。壊れたら、おしまいだ」


 ドネリーの訴えに近い返答に、ジュードは唸った。壊れたらおしまい、というのは致命的な弱点ではなかろうか。


「宝石はどこに仕込んであるんだ?」


 確認のために問う。ドネリーはすぐさま返答し、


「せ、背中だ。背中の中心にはめ込んである」


 背中、と言われてジュードは記憶を掘り起こした。

 思いだすのは、先ほどの戦闘。法具人形オートマタは甲冑を着ていた。すぐに甲冑は破壊したが、背中を見せるような場面はなかった。


「なあ、手足に龍族ドラゴンの骨を使って、燃料がたっぷりあったとしても、その背中のはどうしようもないのか?」

「ド、龍族ドラゴンの骨? ああ、いや、そうだ。まだ動力炉の位置については模索中だった」


 制作者が言うなら、間違いないだろう。背中を意図的に、隠していたと思われる。弱点は、そのままなのだ。

 素材や動力が強力でも、弱点さえわかれば対処のしようがある。

 次に戦う時は、即座に弱点を狙ってやろう。となると、そのためにも牢屋を出なければならないが、今のところ思いつく方法がない。

 法具人形オートマタへの対応策は分かった、次は、とさらに頭を回転させる。

 ピッキングは無理。杖も法具マテリアルも無い。太い鉄格子は、どれだけ力を込めてもびくともしないだろう。

 生き残るための方法を模索する。と、そこで


「うーん、うーん!」


 カルスが懸命な声で唸っていた。


「ん? って、お前なにしてやがる!?」


 声がすると思ったら、カルスが角と翼を広げていた。しかも、一生懸命に角を、


「折ろうとしてるのかお前! やめろ、やめろって!」

「ど、どうした?」

「い、いや、なんでもない……。おい、カルス、おい」


 慌ててカルスを抱きしめ、ローブで隠す。声が聞こえたらしく、兵士も見回りに来たが、全力で誤魔化す。


「はは、なんでもない、なんでもないぞ?」

「そうか……。いくら処罰が近いとはいえ、子供相手に……」


 とか言ってくるものだから、ジュードはまた全力で、


「ちげぇよ!」


 と否定した。

 兵士が持ち場に戻るのを確認してから、ジュードはカルスの頭を小突いた。


「バカ野郎、何してんだ」


 小突かれて、カルスは涙を浮かべた。しかしそれは、痛みのせいではなさそうだった。

 神妙な顔で、ジュードを見上げてくる。いつかの風呂場で見た、悲しそうな顔だった。


「ジュード、いま大変なんでしょ?」

「ん? ああ、まあな」

「だから、ボクの角を上げようと、思って」


 なんでそうなる、とジュードは角が生えたままの頭を撫でてやる。


「だって、僕らの骨とか牙って、人間の役に立つみたいだから……。いまのボクじゃ、骨も牙も上げられないから、角ならって……」

「いや、それは……」


 ジュードを助けようという気持ちは嬉しいが、かといって角を折られるのは嬉しくない。銀龍族シルバードラゴンの角は極上の素材だろうが、


「折れるといてぇだろうが」

「……うん。たぶん」

「じゃ、やめろ。そこまでして助けてほしくねえ」


 状況が危険なのは、ジュードの落ち度だ。カルスを傷つけてまで助かろうとは思ってはいない。


「じゃ、じゃあ、どうしたらいい? ボク、ジュードに助けてもらってばかりだし、ジュードの役に立ちたいし……」


 いつもの無邪気さはなく、カルスの視線も口調も真剣だった。必死に、訴えかけてきた。

 状況が状況だというのに、カルスの気持ちを受けて、ジュードは妙にくすぐったかった。


「心配すんな。お前だけでも、なんとか助けてやるから」


 根拠はない。ただ、覚悟はあった。この銀龍族シルバードラゴンの少年を、あの領主などに殺されてなるものか、と。

 ジュードの言葉を受けても、カルスの表情はすぐれない。むしろ涙があふれ、


「やだもん。ボク、ジュードと一緒じゃなきゃ、ぜったいやだ」


 ジュードの胸に抱き着いてきた。ジュードは、そっと涙を拭ってやる。どうやら、自分も助からねばこの少年は満足してくれないらしい。


「とりあえず、角と翼、隠せ」

「うん……」


 よく見れば、服がボロボロだった。着たまま翼を出したため、背中部分が大きく破れていた。

 翼を撫でると、カルスがぴくりと跳ねる。


「ん……」


 と、カルスの吐息と同時に、小さい金属音がした。


「なんだ?」


 暗い地下牢の床に、輝くものがある。よどんだ闇の中にあるそれを、つまみ上げてみた。

 爪のようなものだった。人間ならば、小指の爪程度の大きさだ。薄い膜の様にも見える。


「なんだ、これ?」


 目の前で見ても、よく分からない。それの正体に反応したのは、カルスだった。


「あ、それ、たぶんボクのウロコだと思う。ジュードが触った時に落ちたんじゃないかな」


 くすぐったかったし、とカルスは言う。

 龍族ドラゴンの鱗というものをジュードは初めて見た。化石となった龍族ドラゴンからは、稀にしか鱗が取れない。石となってしまっては、削って取るの一苦労。大概は崩れて石ころになる。

 薄いながらに、カルスの鱗は硬かった。不用意に握れば、手の皮が切り裂かれてしまいそうだ。

 試しに、牢屋の鉄格子をひっかいてみた。

 鉄格子は浅く傷つく程度だったが、鱗は欠けもせず輝きを失わない。

 龍族ドラゴンは高級な法術素材になる。となれば、生の鱗も何かしらの使えるのではなかろうか。

 しかも、銀龍族シルバードラゴンのものとなれば、


「カルス、ちょっと離れろ」

「え、やだよ……」

「あー、じゃなくて、ちょっと隅っこに隠れろ」

「え?」


 それくらいなら、とカルスは牢屋の隅に移った。


「ドネリーさんだったっけ?」

「な、なんだ?」

「あんたも鉄格子から離れててくれ。できれば、隅の方で丸まっててくれ」

「あ、ああ」


 ジュードは、カルスの鱗を左手指に挟み格子に向けると、法力マナを練り始めた。

 練るのは爆破の法術。

 一か八かの賭けである。成功すれば、この地下牢を抜け出せる。カルスとの約束を守ることができる。


「ふっ!」


 練り上げた法力マナを鱗に乗せて、弾いた。

 透き通る音を発し鱗は鳴ると、瞬間、法術が炸裂した。

 爆音が耳を突きさし、腹を震わせる。至近距離での爆発にジュードは巻き込まれた。壁まで吹き飛ばされ、背中をしたたかに打ち付ける。

 一瞬、息が詰まる。その一瞬がとても長く感じられ、


「ジュード!」


 走り寄るカルスの声を聞いて、なんとか空気を得ることができた。


「が、はあっ」


 むさぼるように空気を吸い込むと、咳が出た。漂うホコリのせいだ。

 カルスが背中をさすってくれる。それで目に力を戻し、吹き飛ばしたはずの鉄格子を見て、


「よし……」


 思った以上の成果にうなずく。

 爆発は、鉄格子を曲げ、岩壁まで砕いていた。人一人どころか、三人が手をつないでも出られるだけの空間ができた。

 行くぞ、と腰を上げる。しかしすぐさま、左半身に激痛が走った。


「っつ……!」

「ジュード、手が……」


 左腕はかろうじて原型をとどめていたものの、酷いありさまだった。手の皮が裂け、指だけではなく腕の骨自体が折れているだろう。

 それでもジュードは立ち上がり、腹に力を入れた。せっかくの好機を逃すわけにはいかない。


「何をした! なんだこれは!?」


 兵士が爆音に驚いて走って来た。煙に乗じて、動く右拳を顔面に叩き込む。


「っかー! やっぱいてぇな、くそっ」


 左腕の痛みを愚痴で誤魔化して、ジュードはカルスと共に牢屋の外に出た。


「ドネリーさんよ、あんたも出てこい!」


 兵士の持っていた剣を無事な方の手で持ち、ジュードは煙の奥に叫んだ。ドネリーは無事だったようで、返事はすぐに来た。


「き、君はどうやって法術を……」

「それは後で話す! 行くぞ、カルス」

「うんっ」


 爆音は城中に響いているはずだ。兵士のお代わりが嫌というほど出てくるだろう。

 ジュードたちは上階への階段を駆け上がる。途中、城の法術師ウィザード用であろう杖を見つけたので、カルスに何本か持たせる。

 やはり、音に気付いた兵士たちがやってくる。それに対して、ジュードはためらいなく法術を使った。

 風切り、氷柱針を加減しつつ放つ。囲まれていたならともかく、出会いがしらの一撃なら充分に効果があった。

 一歩進むごとに腕が痛む。その激痛をもはや気付けとして、ジュードは法術を放ち続けた。


「一体なにご、ぐあっ!」

「あん? 今なにか蹴ったか!?」


 野太い声の何かを踏みつけながら、先を急ぐ。ドネリーはやや遅れ気味だったが、


「わ、私にかまうな、行け!」


 気力はあるらしく、呼吸を乱しながらもはぐれない。

 ジュードの法術は強力な分、杖への負担が大きかった。量産品程度では、すぐにヒビが入ってしまう。


「カルス、新しいのよこせ!」

「はい、これ!」


 杖が折れるたびに取り換えて、新しいのを見つけたならば補充して進んでいく。

 目標は、領主の部屋。地下牢からは一番遠いだろうが、そこへ行かねばならない。


「ドネリーさん、あんたは適当なとこで逃げろ」


 兵士をなぎ倒しつつ、ジュードはドネリーに逃げ道を作ってやる。

 だが、ドネリーは逃げなかった。肩で大きく息をしつつも、ジュードから離れようとはしない。


「俺たちは領主を殴りに行かなきゃならねえ。あんたに構ってる余裕はなくなるぞ!」

「か、構わない、構わないから私も連れていってくれ!」


 あちらにも事情があるらしい。ならば、とジュードは何も言わずに進んでいく。


「カルス!」

「はい!」


 自前の杖が恋しくなる。予備の杖も残り少なくなってきた。本命が捨てられず、まだどこかにあるといいのだが。

 やがて領主の部屋に着いた時、予備の杖はついに無くなった。残りは、ジュードの手にある一本のみだ。

 扉を蹴り開ける。と、同時に剣が襲ってきた。


「だろうと思ったよ!」


 杖で剣と切り結び、ジュードたちは領主の部屋へと押し入った。

 目の前には、甲冑をまとった法具人形オートマタ。領主は机の後ろに控えて不愉快そうに顔を歪めている。


「どうやって出てきた!」

「話してやる義理はねえな!」


 言いながらも、ジュードは法具人形オートマタから注意をそらさない。

 領主よりも、法具人形オートマタを倒す方が先だ。

 相手も、ジュードを優先しているらしい。甲冑を鳴らしながら、大ぶりな動きで剣技を使ってくる。

 先ほどならばともかく、左腕の使えぬジュードには、大振りだろうと強敵だった。杖もお粗末、単純な力比べではすぐに負ける。

 狙うのは、ドネリーの言った、法具人形オートマタの弱点、背中。今は甲冑で覆われているが、そこをなんとかしてむき出しにしなくては。

 剣を避けながら、杖を気遣いつつ法術を使う。必殺の一発は、最後まで取っておかねばならない。

 慎重に戦い進める。こちらに余裕はないのだから。

 法具人形オートマタの動作をいちいち捌いてはいられない。避け、受け流し、杖への負担をとにかく抑える。

 氷柱針の法術を使い、剣を弾く。風切りの法術で、距離を取る。

 次第にジュードも息が上がって来た。法術を使い慣れているとはいっても、本調子とは程遠いのだ。体力的な限界が近い。

 攻めあぐねる。最短で仕留める方法を模索する。

 ジュードが杖を構え、法具人形オートマタが剣を握りこんだ。

 次で決めねばならないかと、ジュードが覚悟した時、


「そこまでですよ、リーヴィス様!」


 場違いな声が横から飛んできた。


「あん?」


 朦朧としてきた意識の中、ジュードは声の主を見る。


「そ、それ以上歯向かうなら、弟子を刺しますぞ!」

「いたのかよ、くそっ」


 商人が、カルスを捕まえて震える切っ先をこちらに向けていた。


「うー! 放せ、放せー! ボクに触っていいのは、ジュードだけだー!」

「し、静かにしろ! さ、さあどうしますかな、リーヴィス様! 弟子を助けたければ、杖を置いてもらいましょうか!」


 カルスは、見たままの腕力しかない。いくら素人とはいえ、大人である商人の力からは逃げられない。

 ジュードは、法具人形オートマタを見る。商人の言葉に反応したか、今は止まっているが、


「はーなーせー!」


 商人を倒すならば法具人形オートマタの刃がジュードを襲い、法具人形オートマタを攻撃すれば商人の刃がカルスを貫くだろう。

 助けたければ降参しろ、とは悪人の常とう手段。従ったところで、カルスの身の保証はない。

 とはいえ、ジュードにはカルスを傷つけるという選択肢はなかった。

 杖を思い切り握りしめ、そして、手放した。


「は、ははっ、賢明ですな!」


 杖を壁際に向かって蹴る。これでジュードはまた丸腰だ。


「領主様、今です!」


 商人の声で、領主が法具人形オートマタに命令を下す。


「殺せ」


 ジュードは動かない。

 と、そこで、


「わ、私にだって、意地があるんだ!」


 動いたのは、ドネリーだった。

 ジュードがあえて壁際にやった杖を拾い、ドネリーが法具人形オートマタへ火炎の法術を放った。

 法具人形オートマタの注意が、ドネリーへ向く。どうやら咄嗟の反応は鈍いらしく、動くまでにためらいのような瞬間があった。

 ジュードは、そこを見逃さなかった。

 すぐさま商人に飛びかかり、剣を奪う。


「ひ、ひぃっ!!」


 悲鳴は無視。奪った凶器は、領主に向かって投げつけた。その行先も無視して、ジュードはさらに法具人形オートマタへと走る。

 ドネリーが切りつけられていた。その手に杖は既になく、


「た、頼む……」


 ジュードへ向けて放り投げられている。

 ドネリーには答えず、応じて甲冑の横っ腹を蹴り飛ばした。

 甲冑が揺れる。壁にぶつかり、


「手加減しねえぞ、テメェ」


 受け取った杖をもはや甲冑の背に突き刺して、ジュードは全力で爆破の法術をぶっ放した。

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