第10話 『スターン様』その2
やましんが聞いておりますのは、25CMのLPレコードであります。
イギリス製品です。(コロンビア 33C1008)
録音年月日も発売年も書かれておりませんが、しべ先生について(1865ー)となっていますから、まだ生前に出されたもののはずです。
また、相方の指揮者は、なんとトマス・ビーチャムさまでありまして、ビーチャムさまと言えば、この曲の世界初の公式録音をしたハイフェッツさまの相方指揮者でした。(1935年)
ビーチャムさまは、1961年までご健在でした。
で、他の資料で調べてみますと、この録音は1951年8月11日に、ロンドンで行われたものとのこと。
アイザック・スターンさまは、1920年生まれですから、30歳をやっと超えた頃。
ハイフェッツさまの、いい意味でも、お好きじゃない方にはそう言う意味でも、『つんっ!』とした緊張感がみなぎる録音とは少し違うような感じで、スターンさまは、わりとリラックスした感じで、のちの再録音(第2話)よりも、むしろ情感を込めた演奏をしているように思いますし、ビーチャム先生もまた、お年を重ねた分もあるのか、ゆったりと構えていて、オケも、ハイフェッツさまの時よりもリラックスムードな感じです。
モノラル録音ですが、再録音の、都会的に完ぺきな演奏より、やましんとしては、こちらのほうが、お近づきになりたい感じの演奏なんです。
うまいことはもちろん、抜群に上手いですが、第3楽章のあたまなどでは、きっちり楽譜どおりというよりは、多少、即興的に弾きくずすような感じもあり、そこが人間的でいいです。
ハイフェッツさまが、時に反発を生んだのは、どうも、あまりにいつも完璧すぎるという、いささかぜいたくな理由もあったようです。
でも、演奏家は、ことレコード(CD)とかになれば、完璧なものを残したいでしょうけどもね。
ただ、失敗は時に、後世の人から見て、ある種、人間性の証明になることもあるようです。
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