第7話 『ブスターボ様』
グゥイラ・アデリーナ・テレシナ・ブスターボさまは、1918年、ウィスコンシン生まれのバイオリニスト。
9歳でヴィェニァフスキさまの嬰ヘ短調の協奏曲を弾いたというので、これもま
たものすごい天才少女だったのでしょう。
フィンランドに赴いて『しべこん』を演奏した際には、シベ先生ご本人が演奏会
に来ており、大変感激して賞賛してくれたといいます。(シベ先生には、けっこう
こうしたお話が多くありますが。)
ただ、この方、あまり今日、CDなどがたくさん出回っている状況ではありませ
ん。
この「しべこん」の録音は、録音年月日がはっきりしませんが、おそらくは、
1940年くらいのものらしいです。
もちろん、一般的に言えば、良い音とは言えないのでしょう。
しかし、これがまた、異常なほど(変ないい方ですが)すごい演奏です。
第1楽章前半は、わりと前向きに行きます。
最初の小さなカデンツァのところの、『ラルガメント』指示の部分のはじめを、
重音で奏しています。スコアを見る限りはそういうわけではありません。
このほうが難しいでしょうけれども。このあたりの事情はやましんにはわかりま
せん。
大カデンツァのあとが、ことのほか素晴らしいです。
わりと直球的に勝負してきていたのが、第2主題の再現部では、非常に情感あふ
れる演奏にしています。このさきは、ただもう、感動的。
第2楽章は、のりのりで行きます。これがなかなか、すごいです。
でも、一番すごいのは、第3楽章です。
ヌヴーさまとは対称的な高速で開始し、そのままぐんぐん行きます。
これは、ハイフェッツさまをも上回るような、豪快な終結部につながります。
ただ早いだけではなくて、音自体が生き生きと、歌い踊るのです。
これは、シベ先生が高く賞賛したのも、なるほど、と、いかに、愚かなやましん
も、思います。
ましてライヴだったら、そりゃあもう、素晴らしかったのでしょう。
『しべこん』の演奏史は、エルガー様のチェロ協奏曲と同様に、女性奏者がかな
り優位な感じがしますが、その理由は不明です。
でも、次も女性が続きます。
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