7-1 しあわせ

「アインズ!ごめん。あいつには、後で言っておくから。だから、二人だけでも、晩餐をしよう!さっきの肉は?あれ程の肉、見たこと無かった」


アインズに呼びかける。やさしい男の好意を踏みにじってしまった。


「ドラウ、謝らなくていいさ。急に聞かされて彼も驚いたんだろう。私たちがという事実を。」

「すまなかった。私が考えなしだったんだ。あいつ、私ことを。」


 セラブレイトが怒っていたのは種族の問題じゃなかった。彼のいやらしい視線は単なる肉欲ではなかったようだ。本当に愛してくれていたのだ。


「私も悪かったよ。せっかくの晩餐だったのにな。許してくれるなら、もう一度同じ品を出させるよ。」


 アインズが手を鳴らすと、銀のカートに乗った料理が並べられ、湧き立つような蒸気とともに芳しい香りが流れてきた。美しい肉だっだ。


「二人だけの晩餐といこう。さあ、ここに座って。セラブレイト君の今後とか、私たちの未来を語ろう。」


 アインズが示したのは彼の太ももの上だった。見ればクッションまで置いてある。


「あ、アインズ。それは…」

「頼むよ、断られると私だって恥ずかしいんだ。それに、ほら。こないだのドラゴンの上ではもっと…」


 思い出さされて顔が紅潮する。お姫様だっこ。


「わぁあああ。う、ズルイよ。アインズ。わかったって。」


 初めての素の自分でいられる相手。アインズはいつだって優しかった。たとえ立場のせいで婚約できなかったとしても。この気持ちは嘘偽りなんかではない。


 二人で語り合い、ゆっくりと時が流れて行った。

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