6-2 王女と二人のロリコン
「どうだ。うちの国は。共に平和を目指してくれないか。」
申し分なかった。街は先進的な建物にあふれていたし、村には異種間の絆が有った。さらにそれを支える強大な魔術の数々。こちらから願い出たいほどだった。
「あなたの国についてはよく分かったわ。アインズの志も理解できた。でも、うちの国ではビーストマンと暮らす未来は遠いものだわ。」
「分かっている。それでもその一歩を踏み出してほしい。それが私の望みであり、君の国の未来のためにもなる。」
アインズの話では結ばれる協定は魔道国が直接的に得をする協定ではなかった。だが彼の見せてくれた証書やその理想は紛い物ではなかった。
「いいわ。分かった。協力しましょう。」
「そうか。ありがとう、君ならそうってくれると信じていた。よし。盟約は結ばれた、復活の魔法を行う。」
アインズが手を叩き、乾いた音が三度響いた時、無骨な聖杖を携えたメイドが現れた。
「アインズ様。用意はできております。」
「よし。ではルプスレギナ。早速頼む。ドラウ。セラブレイトの復活、しかと見届けるがいい。」
芝居がかった雰囲気で手を振り下ろすアインズに呼応し、メイドがなにやら謎の仕草をして魔法を発動させた。
<トゥルー・リザレクション>
閃光が視界を覆い、視力が戻った時には毛布がかけられた男がうろたえていた。セラブレイト。ロリコンの、護国の英雄。最後まで尽くしてくれた男だった。
「積もる話もあるだろう。われらはこの場を去るとしよう。用向きがあれば扉の外にメイドがいる。ではな。」
やはり、見かけと乖離している。やさしいアンデッドの王を感謝と共に見送った。
「おうじょ。さま。」
「いい。まだゆっくりと体を休めろ。ほら、このソファに横たわれ。幼女様の膝枕だぞ?」
困惑しきっていたセラブレイトの目に光がともった。どうにも救いようのないロリコンのようだった。だがそれも生きていてのもの。ニマついた男をなでながら事のあらましを告げた。魔道王の妻となったことを除いて。
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