4-2 会話
「ん。気が付いたか。」
唸るような頭痛。喉がひりつく。手足も鉛のようだ。頭に乗っていた冷たい布をベッドの外へ投げ捨てる。
「水を。誰か、頼む。」
頭が働かない。なぜこんなに怠いのか。ここは…私の寝室?
「これを飲むがいい。自然回復にバフがかかる。」
「…?骨…お前はッ、死神!?」
死神の王があきれたように頭を振った。
「違う…覚えてないか?誓ったろうが。。」
「王…そうか…私は儀式を行ったのだったな。ハハッ、それで?この虐殺王女に何の御用かな。死神でないなら、アンデッドの王とでも?カッツェ平原の主か?」
「うむ。まあ、あそこもわが支配下ではあるな。貴国の隣国、アインズ・ウール・ゴウン魔導国の王だ。エランテルが首都のな。」
「何?あそこは王国の都市のはず。王国は滅んだのか?いや、法国が認めるはずはない…貴様、嘘をつくな。」
「嘘ではないのだが…ああ、王国がエランテルの支配権を譲った時の調印がある。これでどうだ。」
「…確かに本物のようだが。法国は何を…いや、こいつのせいで増援が…」
もし仮にこいつが本物の王であったならば、いかなる背景があれ法国が許すはずがない。それなのに無事なのは法国が手を出せない力を持っているのか。
「それで、その王がなぜ我が国に?よりによってこんな時に。」
頭が動き出す。そう。確かあの時こいつは突然現れた。タイミングよく。アンデッドの王が。死の都市へ。
「ああ、魔力の衝撃を感じてね…ここは、あまりに風通しが良すぎる。我が国に来ていただけるかな?ここは会談の場にふさわしく無かろう。」
「…好きにしろ。だがその前に、ビーストマンはどうなった?いや、そもそも王都は…」
「ビーストマンたちはほとんど戦死。生き残りも正気を失っていた。王都もほぼ壊滅。人間の生存者もいなかった…実に奇妙な魔法を使うのだな。」
生存者はいない。分かっていた事ではあったが…
「そうか…どこへとなり連れてゆくがいい。どのみち当てのない敗者の王だ。今頃ほかの都市の皆は難民として移動を開始しているだろう。」
「ああ、そっちにも部下を送っている。向かう先には我が国の領土があるだろうからな。合流できるさ。さて、少し失礼。」
「いやっぁ!何を!そもそもなぜ私は裸なのだ!」
突然に体に触れてきた男に抵抗する。
「ち、違う。そういうんじゃあない!私は骨だぞ!?ただ転移をだな…」
「やめろ、やめてくれ、いやだ!」
「あークソッ。タイムストップ!」
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