【29】『魔法の国』
『
これはとおいとおいお国のお話。
その国は皆、
そんな国をおさめる王さまも、とうぜん魔法つかいです。とてもつよく、人々があこがれるすばらしい魔法つかいでした。そんな王さまの耳に、ある知らせがまいこんできました。
“
ペポランドの子どもたちは、生まれてすぐに魔法がつかえる、というわけではありません。生まれた時は人間の子どもと同じように育ち、五さいをむかえた時にあるぎ
その日も、五さいの
国を出る時は他国とのあらそいがある時ぐらいです。それ以外ペポランドの魔法つかいたちが国の外にでること、つまり人間とかかわることなどありえないのです。
少年とその
「王さま、これは何かのまちがいです! きっと息子はびょうきか何かにかかっており、うまく自分の魔法がつかえなかったのです。そ、そう、元々この子は昔からびょうじゃくでした。だから今回もちょうしがわるくて」
「びょうきなら、魔法でなおせるだろう。それにぎ式は
王さまのことばに、りょうしんは返すことばがありません。
すると、りょうしんに
「ボクは、魔法つかいです。ほら、こうやって人間のふりができるから」
少年にとって、ペポランドの王さまと会うのはこれがはじめてです。よく見ると、少しふるえているようにも見えます。それでも王さまの前で、どうどうと自分が魔法つかいであると言うその姿に、王さまはあっけにとられてしまいました。
「キミ、どうして人間のふりをしたんだい?」
人間は魔法つかいにとって、さけてきたそんざい。その人間のふりをした理由を、王さまはじゅんすいに気になって聞いたのです。すると少年は答えます。
「人間がなにを考えているのか、気になったんです」
「ほう、それで何かわかったかい」
「はい。人間はきっとさみしがり屋さんなんです」
「さみしがり屋?」
「だって魔法がつかえないんじゃ、つまらないでしょ」
少年のことばに、王さまはハハハッと大きな声を出してわらいました。そして言いました。
「おもしろい。この親子をかいほうしよう。もう家にかえっていいぞ」
親子はそのまま家にかえり、少年は魔法つかいとして
「どうして、あの少年を魔法つかいと認められたのですか?」
そのことばに、王さまはこう答えました。
「わたしたちは、魔法がつかえないということを考えたことすらない。少年はそれを教えてくれた。魔法は楽しいものだってな。だからあの少年は魔法つかいだよ。わたしの心に魔法をかけてくれらからな」
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