第3話 とある本棚です

 本棚はありますか?本当に本だけ入ってますか?

 なんの変わりもない本棚。片付けたら本棚のすき間や裏からいろんな思い出が出てきました。基本動かさないからね。

 本を動かしたら千円札がひらひら落ちてきました。子どもの頃のどうぶつの図鑑からは押し花が出てきました。ただの雑草のお花。




 〇〇〇〇〇〇






 うちは本棚。この家に来てからずっとここにいる。本っていっても教科書とまいちゃんの秘密の日記帳と詩のノートが入ってる。あとはぬいぐるみのクマと鏡、下の方にはお父さんが読み飽きたミステリーが横積みになってる。


 まいちゃんは中学生になって、教科書が一新された。うちはちょっと抱えきれなくてまいちゃんはクマさんと鏡を取った。うちは教科書でちょっと重くなる。


 そのうちパソコンで日記を書くようになり、本が動くこともほとんどなくなった。そして、



「うわー懐かしい!」



 まいちゃんはうちを見て声を上げた。大人になったまいちゃんは高校の教科書の隅に見つけた日記帳と詩のノートをめくる。


 うちは本でも日記帳でもない。本棚だ。

 本はうちのそばにある。本じゃないことも多いけど。それがないと重みを感じることはない。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る