INTERPLAY Book Reviews

1999.09 BR 真夜中の天使1

真夜中の天使1

栗本薫　文春文庫　1982年

REVIEW

　敏腕プロデューサーの滝は音楽喫茶で偶然今西良と出会う。良のなかに天性のスターの素質を見いだした滝は、良を芸能界へスカウトする。良は天性の素質でトップスターにのしあがり、滝は他のプロデュースをやめて良の専属のマネージャーになる。滝はホモの作曲家の山下に良を身売りする。山下を拒んで逃げ出した良に、滝は芸能界でやっていくつもりならば、山下の言いなりになれと言うが――。

　滝の視点で話が進むのだが、一巻の最初のほうはパワーダウンしてるような気がする。良が無垢なのか悪党なのかよく判らなかったからだと思う。最初は人形を強姦してるように見えた。

　滝が悪党とか残酷とか書いていますが、滝いい奴じゃん。脇の結城のほうが悪党らしいのは気のせいかな。結城はいいキャラクターだと思った。狸で。

　愛してないから優しくなれるというのはあるけど、滝のかつての恋人で歌手のミミと滝の関係は、都合良すぎると思った。

　JUNEの原型だけあって、報われない子供や下克上のファクターがすでに出ているのがすごいと思います。そして良の登場シーンで頭がリーゼントなのが笑えました。流行は後で見ると残酷だと思います。