1999.09 BR 真夜中の天使2

真夜中の天使2

栗本薫 文春文庫 1982年


REVIEW


 良は滝に操られるままにトップスターになり、純白の衣装をまとった天使的容貌でファンを熱狂させる。が、良はじょじょに気まぐれで残虐な悪魔的要素を帯びてきていた。良は競演した大御所の白井みゆきとその若い恋人の佐伯を手玉に取り、三人のキスシーンを良の愛人の山下に目撃される。逆上する山下。滝は山下を切り捨て、良に『ポップス大賞』を受賞させるために裏工作をする。山下の後釜になったのは、作曲家の結城だった。結城は良の媚態を見破り、良を軽蔑していた。良は最初、自分の存在を無視する結城を嫌っていたが――


 良の性格が素晴らしく憎々しげです。魔性の美貌でなければ少しは痛い目を見て矯正されるのに、みんな虜になって不幸にされていくという。滝もだんだん壊れてきていい感じになってます。


 良に捨てられて包丁ふりかざすシーンでさすがに山下に同情しました。

 ミミが滝に友人の歌手の結婚を愚痴るシーンは、けっこう実感がありました。自分で男を振っておいて、という見方もありますが、ミミの勝手さも女性として可愛いと思う。そのあとで良と清の強姦シーンと良との決裂シーンの流れが上手いですね。清……君はまともだったのに。

 ミミとの結婚を知って良が激怒するシーンの良が身勝手で腹が立ったけれど、自分を所有物だと思っている滝がほかの人に興味を持つのは許せない、というのも判るような気がする。自分が物扱いされているから特に。でも一回だけ良にののしられて滝と別れるミミも変だと思った。プライドが傷つけられたからって、又聞きの話を本人に確認もしないで別れ話をふるだろうか。

 結城が良を拾うシーンで、ようやく一巻の結城がべた褒めに褒められていたことに納得がいきました。

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