第4話
「無声……とな? 」
私は頷く。
「通常な有声がレベル15だったが、我らの魔法使いは習得しておらんからわからないが、相当な高位魔法のはずだぞ」
雲行きが怪しくなってきたな。
「そもそも転移魔法には種類があったよな?
」
無属性魔法、精霊魔法、元素魔法、補助魔法までは学校の座学で習った。
武器に関しては野外授業がある。
鍛錬や知識だけではレベルは上がらない。
世襲以外は勇者職はないものの、ほかの職に着いて冒険も可能だ。
モンスターを倒さなければレベルは上がらない。何故だかは知らないが。
魔法を取得するにも、レベルを上げ、所定の場所にいる師範に認められないと授けられない。
初期魔法は教師が授けるが、レベル5までしか上がらない。
知識と技術だけの村人なんてそこら中にゴロゴロいる。
更に高等な知識や技術を学ぶには王都にある学校に行かねばならないし、かなり金も掛かる。
世襲だけはタダで受けられることになっていた。
「……他人に掛ける方が高位、だよな? 」
「うむ、先代の魔法使いですら無声までは手に入れてはおらん。……何故そんなことを?
」
私は重い口を開いた。
「……私は距離は短いとはいえ、オヤジに外に一瞬で出された」
息を飲む音が微かに聞こえる。
「……なんであの役たたずだったはずのオヤジが高位魔法が使えるのか。腐っても勇者だからだと軽視していた。しかも、この残念装備まで着せ替えられてだ」
村長は難しい顔をして口を1文字に結んだまま、何かを考えていた。
ややあって。
「……何も浮かばん! 」
椅子から落ちそうになった。
まぁ、そうだよな。
「50余年あったんだ。どこかでなんかしらしていたのかもしれん」
まさかなー、速攻引退したくせに虎視眈々と魔王退治を目論んでいたならば、押し付けたりしないはずだ。
母さんに逃げられたりもしないはずだ。
因みに疑問に思っているだろう伏線を一つ、回収しておこうか。
《隣村に里帰り》しているはずの母さんは? と思うだろう。
考えてみてくれ。私の村が端にあるとは一言も言っていない。
則ち、両隣があるわけだ。
こっちは徒歩で易々と着けるくらいの村。
逆隣は徒歩で行けば3日掛かる。
母さんは安馬車でも雇っている筈だから、軽く見積もっても1日馬車に揺られるわけだ。
昨日の夜まではいたから、少なくともまだ馬車の中だろう。
帰ってこない可能性が高いのは、結婚してから1度だって帰っていないからだ。
よく50余年もあのオヤジに連れ添ったよ。
お疲れ様と言いたいよ。
てことで、本題に還ろう。
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