第3話
「頭をあげて。今日は泊まっていきなさい。……大いにオヤジさんの愚痴大会と行こうじゃないか」
この村長、良い奴だ。
「ごめんね、毎日俺、聞かされてたから代わってくれると助かるよ」
少年を持ち上げながらいう、世襲逃れした青年が言った。
わかるよ、アレを目の当たりにするのとしないのとでは違うからな。
「お言葉に甘えてお邪魔します」
すると肩を叩かれた。振り向くと、ぷにっとされる。
「うふふ、女勇者さん、お名前はなんておっしゃるの?」
ちょっとふくよかだが、綺麗な女性だ。
「あ、俺のカミさんだよ」
温和夫婦だな、をい。
「フランチェスカ、です」
「フランチェスカさん、素敵なお名前ね。お夕飯、奮発するからお義父さんお願いね」
……なんだろう、この夫婦。
ちょっと嫌な予感がしなくもない。
私の嫌な予感は当たった。
ありのままに原文を載せようと思う。
禁止用語も混ざるため、配慮しながら。
「時間は有意義に使わんとね」
村長は椅子を勧めて、冷たいお茶を二人分。
そして自らも座った。
そのまま徐に口を開く。
「あれから、50余年か。長いな」
「そうっすね」
「私は……殺したいほどではないが、あんたのオヤジさんを恨んでいる」
「お気持ちお察しします」
ここまではよかった。
「私は先代をリスペクトしていてな? オヤジさんにも期待していたんだ。きっとレジェンドになってくれると」
このじいさん、意外と現代被れだな。
「ところがどっこい! 物理は私に任せきり、魔法は使えない。せめて吟遊詩人のように盛り上げてくれるくらい期待値を下げたのに! ヤツは煽ってばかりでこちらの負担にしかならんかった! 」
うわー、オヤジ死ね、今すぐ死んでくれ。
「最初はやる気があったんだよ、あれでも。『オヤジを超えてやる』とキラキラしておった。見た目はアレだが」
うん、アレだね。似ちゃった姉貴可哀想。
「皆信じていた。けどな、急ぎ過ぎた所為で、『雑魚狩りちまちまやっててもオヤジ越せねー、強いやつ倒して更に強くなる!
』基本をガン無視するヤツだった」
レベル上げ面倒がったんか。
「死んだらセーブした街に戻ります、何てモノはない。僧侶の回復魔法だって傷跡は残るし、限界がある。……死んだらそれまでだ」
作り物じゃねえもんな。作り物みたいにセーブ利かなくても1からなんて生易しい世界じゃない。リセットボタンなんかない。
死んだらおわり。
「先代だって人間だ。上手くいかなかったこともあったろう。ヤツはそれが許せなかった。順風満帆であることを欲した。……レベル1のままだったくせに」
……ん?
「おやっさん、待ってくれ」
私は違和感を感じて話をぶった切った。
「なんだい? 」
「……無声転移魔法ってレベルいくつ? 」
質問の意図がわからないのか、一瞬間があった。
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