『まだ…』

「ようし、やっと釣り場に着いた! 早速始めようぜ!」


 誰かに伝えたいわけではないのだけれど、ついつい声に出してしまう、俺はそれくらいには釣りが好きだ。それに自分で釣った獲物が夕食に出るのが何より嬉しい。


「私は見てるだけで良いっていつも言ってるじゃん……」


 ビビはそういって白い髪と仄かな甘い香りを振りまいて、定位置である手頃な大きさの岩に座った。


「毎回思うんだけどさ、釣り場に来てなんで釣りしねーんだよ?」


 そう問えば彼女は決まって、


「別にいいじゃない? 暇だし、ここの景色が綺麗だから来てるんだよ」


 そんなものだろうか? というかさっきおばさんにお使いを頼まれていたように見えたが……まぁ、ビビと話しているのは楽しいからいいんだけどさ。


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