第4話 異世界に着いた二人
異空間からやっとのことで抜け出した二人は、ここはいったいどこなんだろうと考えていました。周りを見渡してみると、北の向こうに大きな森が見えました。今二人が立っている緑の草が生い茂る草原(そうげん)からは十分程でつきます。異世界に着きましたが、まだどこにいるのかもどこに向かえばいいのかもわかりません。
そこに白い衣を羽織った神が出てきました。
「今いるのは地球ではない。」
「え~」
二人して言った。
「まー聞け、今から北に見える森に向かい、その森を抜け、その森をぬけた所に赤い煉瓦の家がある。その家にいるタヌキんど一世に会いに行け。それと、森を抜けるには、森を抜ける直前に出て来るCSまんとひひを倒さなければ抜けることができない」
「どうやって倒すの?」
と問いかける二人。
「そいつを倒さないかぎり森を抜けることはできない。動きで翻弄し、隙をみて馬と連携しながらパンチやキックをして倒せ。」
と言いました。
「えーそりゃあないやろー」
「では、今からあんた(馬を引く者)を狸にかえてやる」
「今から呪文を唱える。ドンパチドンダテヨヨイノヨイ」
すると、どうしたことでしょうか?馬を引く者の姿が人間から狸にみるみると変わって行きます。そして、完全に狸になると、リュックからかわいらしい青色のハート型の鏡を取り出すと、自分の体をしげしげと眺め始めました。
顔は神が狸に似ていると言っていたためあまり変わってはいないので、他の所を見始めました。
声はまだいつもと変わらず、高くてちょっとこもったこもり声のままでした。まだ人間の言葉しか話せません。
足は、狸は普通は四本足で歩くのに、自分は二本足で立ち、二本足で歩いています。慣れてきたら、たぶん四本足で歩くことができるようになるでしょう。
手の指は五本あり、真ん中に丸い突起があります。
体は茶色で、頭の上には三角形の短い耳が二つ付いています。
足の指も五本あり、がっしりと地面をつかめるように爪は、手と足のどちらとも長く、突き刺さるように下方向にちょっと曲がっています。
お腹は丸く、色は白というか肌色で、おへそは丸くてイギリスの国旗みたいに米型になっています。
鼻はいつもよりは利き、1㎞先のにおいも嗅ぎ付けられ、へそはでっぱっていて、目は、周りが暗くてもよく見え、口はちょっと小さくなっています。
尻尾は茶色で、丸くて大きいです。
馬を引く者は、何で狸にするんだと文句を言うと、神は、そのほうがタヌキんど一世に会いやすいだろと言いました。
「ふ~ん。なるほどな~」
と馬を引く者は思いました。でも、不満は言っても言い切られないほどあります。ここでは不満は多すぎるので、述べられませんが、馬を引く者が歯を剥き出しにして怒っているのは明らかです。しかし、その不満を神に言う間もなく、
「では頑張ってタヌキんど一世に会いに行けよ。成功を祈る。」
と言い、神はそそくさと消えてしまいました。
「ちょっとまてー」
しかし、その声を聴く前に神はどこかに行ってしまったようです。神に取り残された二人に選択の予知はなく、二人はしかたなく森に向かうことにしました。リュックから赤と青の針の付いた丸いコンパスを出し、北をどっちか確かめ、二人はコンパスの指した方向を頼りに森に向かって行きました。
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森に向う道中二人はこんなことを考えていました。
「くっそー。あのじじいが!!あの白いひげをへし折ってやったらどんな顔をするかなあ」
と狸は、ゴミを踏んづけるような顔をしながらほっぺたを赤く膨らませていました。紙を頭の上に置いたら本当に燃えてしまいそうです。
馬はそれを見て、主人が元気を取り戻してくれて本当によかったと思っていました。
そして、うれしそうに鼻を鳴らし、
「ヒヒーン」
と鳴いたのでした。
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二人は人間と馬から狸と馬になってしまいました。これから二人にはどんな災難が降りかかってくるのでしょうか?
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