第3話 異世界につくまで

 では話を元に戻しましょう。

 時は紀元前六万年。場所は混沌島。

 二人(馬と馬を引く者)は、異世界へと続く暗くて不気味な穴をゆっくりとゆっくりと落ちて行っています。

 馬を引く者は二人が出会ったころのことを思い出していました。―先ほど話しましたよね―そして、馬の方を向きました。そして、今回起こったことを頭の中で整理していました。

 「僕はあの馬の主人なのになんてだらしないんだろう。もうやだ、こんなところにいたくない!でも、今いなくなってしまったら、今度は馬の方が悲しむことになるんだなあ。あーどうすればいいんだ。こんなときあいつ(馬)だったら、どう思っているんだろうなあ?また僕をあのときみたいに慰めてくれるのかなあ?」

いっぽう馬は、こんなことを考えていました。

 「こんなチャンスは滅多にないぞ!私は、前々から自分を鍛えたいと思っていたんだ。まさか、そのチャンスというものが、こんな感じで巡ってくることになろうとは、自分でも夢にも思っていなかったがな。しかし、あの精神的にも沈んでいる主人をどうやって立ち直らしたらよいのだろうか?う~ん・・・あっいいことを思いついたぁ~。また主人のところに行って慰め、あの時のように主人と一緒に泣けばいいんだ!!そうしたら、主人にもやる気が戻るし、私も体を鍛えることができるし、一石三鳥だ。いや、一石二鳥かな?まあいい、今は、とりあえず私の主人を慰めに行くか。」

 と言って、馬は、馬を引く者(馬の主人)を慰めに主人の方へ近づいて行きました。


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 馬はこのとき初めて異空間の中を移動して、異世界に続く道がどのようになっているのかを知りました。                  

 その世界は、異空間ですから地球とは違う重力の働き方をします。

 ここでいう重力とはどういうことなのかというと、―まず、地球の場合で言えば、地球の中心に向かって私たち(ここでは、人間のことを指しています。)は、常に引っ張られているので、浮くなんていうことはビルから物が落下して、地上に着いて粉々になることで、浮くなんてことは地球上ではあり得ないので、地球の場合で言えば浮くなんていうことはあり得ないのです―常に体が宙に浮いているということです。空気は存在しているので、宇宙の原理とは全くもって違います。

 ようするに地球よりも重力が異空間の中では弱く、しかも神(ここでいう神とは、第一章で登場した白い衣を羽織って登場した者です。)の力で異世界に飛ばされていて、そのときに通っているのが、この今通っている異空間なので、異空間の中を移動する力と神がかってに使った(「この力は、後で出てくるので、覚えて置いたほうがいいですよ。」「って嘘を言わないー。」)二人(馬と馬を引く者)に対しての力の二つの力によって二人は、異空間の中で浮くことがきているのです。

 これでここでいう重力の意味が分かりましたよね。えっ、私はわからないってぇ~!

 そういう人はもう一回重力の説明のところまで戻ってもう一度読み直してみましょう!ただし、今度はゆっくり意味を理解するようにね。


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 では、話を戻します。

 異空間の中の様子はどのようになっているのかというと、色で言うと、紫と青と緑を混ぜ、その中に二人を入れた様な感じです。

 その中を馬は、頑張って手足を海を泳ぐように必死に動かし、主人の下へと異空間の中を泳いで行っていました。


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 その頃二人を食べ損ねた龍はというと、混沌島の上空から島を観察し、二人を一生懸命探していました。

 しかし、一向に二人は見つかりません。そのため、龍は怒り狂い、島にある建物という建物を一心不乱に壊し始めました。それでも二人は一向に姿を見せてはくれません。そして龍は、二人が見つからないのならば自分から探しにいってやろうと思いました。

 「じゃあまずは、俺の友人のこの星のことならなんでも知っているゲーテというやつに会いにいくか。」

 と龍は言いました。

 そして、龍はやつに会いに行くためにやつが住んでいるアメリカにある巨大な山脈ロッキー山脈に行くことにしました。

 そうと決まれば、さっそく準備をしなくてはと思い、龍は、自分のねぐらのほら穴へ行き、自分専用のリュックに食料や腹巻、水、それに羽が万が一凍ってしまって使い物にならなくなってしまったときのために羽に塗って凍りを溶かす薬をいれ、ゲーテに会いにロッキー山脈に向かうのでした。


 龍は、アメリカに向かう途中こんなことを考えていました。

 「あいつなら俺の追っている二人がどこにいて、今何をしているのかも手に取るように分かり、何でも答えてくれるだろう」


                  ▲


 やっと馬は主人の下に着き、主人の首に頭をなすり付け、主人に甘えている惨めな馬というように接しています。

 主人はそれに答え、馬の頭や首筋を優しく撫でています。それで幾分かは主人も決心が突いたらしく、

 「よっしゃあ!いっちょやったるか~」

 と叫び、手を握り、腕を高々と上に上げるのでした。


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