わたしのサイダー Ⅲ

9th area

なんとはなし



なにものになれるのだろうと

なんとはなしに考えてみても

ゆめを食べるたぬきがいて

ためらう

あなたの鼓動に

身をゆだねるほどに

なにもかもたやすく

なんとはなしのうちに

できればいいのだけれど

ため息をひとつ


なぞかけはばらばら

あっちも正解でこっちも正解なら

ためしにひとつとやってみて

なすすべなく間違う

ため息がふたつ


お好きなようにどうぞ

わたしの正解はあなた

けれど痛いのはいやなんです

なんとはなしのうちに

ぜいたくを覚えてしまって

なぐさみものになるのはいやで

やさしくされたくて

どうせなら気持ちよくしてほしい

実情はうらはらで

食べかたにはマナーがあって

お好みでとは言えても

手づかみでも結構とは言えなくて

あなたのものとは言うけれど

壊したり捨てたりはゆるしてなくて

正解はあなたにあっても

それさえなりきれない

ため息をつくべきなのは

わたしなのかあなたなのか


なぞかけはつづく

あっちも正解でこっちも正解なのに

ためらいの果てに

あなたに答えを見たがるわたしが

なによりも間違い


なにものにもなりえないのかと

なんとはなしに考えてみても

ゆめをさえずる銀狐ぎんぎつね

花嫁修業と言うばかり

ため息をまたひとつ

きれいな三角のおにぎりをどうぞ

ナイフで切れとは申しません




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