6th area

知っているか



夏の彩りに満ちた街角

焦げつく道路の端で

仰向けでぴくりともがく蝉

もはや飛ぶこともないだろう

助けるよしもなく

同情する謂れもない

しかし目にとまってしまっては

心の内に問いかけが湧く

あなたは何を求めているのか

その前肢は何を探しているのか

夏空に飛び立つことか

無限の生か

あるいは繁殖か

長く過ごした穴ぐらに戻りたいのか

いずれかを望んでいたとして

先に挙げたいずれもが

間違いなく叶わないと知っているか

それでも前肢を喘がせるなら

いっそ踏み潰してやろうか




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