ドロップス



苺のドロップス

どれだけ舌で転がしてみても

果実には程遠い

代用品に届かないそれを

何ものにもなりきれない私が舐める


26℃の街角

涼しくとも蝉は鳴く

夏は所在をなくして

汗はためらいがち

薄荷ばかりが缶に眠る


甘い飴にしてほしくて

纏う服を脱ぎ捨てても

情動をぶつけられるばかりの私

優しく転がして欲しいのに

噛み砕かれてばかり


薄荷を嫌うからいけないのかと

どうしても真面目に悩んでしまって


26℃の街角

甘味は安っぽく

苺を舐めている気はしない

薄荷で缶を鳴らすだけ

口に含んでなんかやらない




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る