第4回 『人工衛星の供養』その2
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『秋深し、自分は何をする人ぞ。』
乱暴君がつぶやきました。
「それも、アイノちゃんの句かい?」
「いや、これは、ぼくのですぞな。」
「はあ・・・・あのね、ちょっと、思ったんだけど、放送したんじゃダメなのかいな?」
「放送? ああ、放送か。なりほど、それは、あほらしすぎて思いつかなかったぞなもし。」
「どうせ、ぼくは、あほですよ。」
「でも、どこから放送するのかな、もし。」
「そりゃあ、我が国の公共放送とかでしょう。すべての可能な周波数で宇宙に向けて放送する。」
「あのね、宇宙の衛星にまで、あまねくとどくには、それなりの設備が必要です。短波なら届くかも。でも、宇宙開発の専門機関の協力があったほうがいいぞな。」
「ぼくらを首にした連中に頼むのはいやだな。」
「まあね。でも、地球の危機ですよ。この際、官房長官にやってもらおうじゃないですか。」
「ふうん。まあ、どうせ無理なこと言ってきてるんだ。こっちからも、無理な答えをしてみてもいいかな。しかし、なんらかの有効であると言う証拠がないと、相手にしてくれないかも。」
「じゃあ、それこそ相手に聞いてみましょうよ。ここの親父は、アマチュア無線が趣味でね、許可をもらって月面反射の実験なんかしてるんです。結構強力な送信機を持ってます。そいつで、犯人の衛星に質問してみましょう。」
「そんなこと、出来るかな?」
「まあ、相手は人工衛星の幽霊です。やってみましょうぞな。そう言ってる間にももうすぐ、水没するぞな。」
確かに、すでにこの街もすっかり水浸しで、水位がどんどん上がってきています。
ぼくらは、9階にいる乱暴くんの叔父さんに、おかしな依頼をしに行きました。
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