第2回 『まだ、雨はとめどなく降る・・・』
「人の世の 春短くして 悲しけるかも。」
「なんだそりゃ?」
「俳句ですがな、もし。」
「俳句?ほう、乱暴君にそうした趣味がっあったのか。知りませんでした。」
「いや、ぼくのこの、コンピューター『アイノちゃん』が作ったんですよ。」
「ふうん・・・・なんか微妙に違っているような・・・」
「まあ、いまは言葉を並べることに、喜びを感じている段階ですからね。文法はあまり教えてないぞな。」
「ふうん・・・で、何か成果、あったのかなあ?」
「いや、そっちは、どうですか?」
「さっぱりだね。『雨は我が梅雨野に果てしなく降る』、だなあ。」
「そりゃあ、俳句じゃなくて、暗号でしょうぞな。」
実際、さっぱりでした。
まあ、『気象火山津波等観測省』のお偉い方々に手が追えなかったのだから、素人が苦しんでも、無理はありませんでしょうけれども。
「しかし、こいつは、怪しいですぞな。」
あの、乱暴くんの口癖が出ました。
実は、これは、良い兆しの場合が多いのです。
「地球上に原因があるのでは、ない気がするぞな。」
「ほう? じゃあ、なに?」
「まだ、解りません。」
雨は、地上のお水が蒸発してお空に上がり、水滴が雲を作り、重たくなってまた落ちてくる。
材料は地球上にあります。
宇宙に原因がある? まさか。
「また、宇宙人とかですか?」
「さあてね。まだ仮説にもならないですぞな。」
「ふうん・・・でも、ぼちぼちなんとかしないと、また、雨が激しくなったよ。この街は珍しくあまり被害が出てなかったけど。こりゃあ、あぶないでしょう。きっと。」
とてつもない雨が降り始めておりました。
バケツをひっくり返したと言うよりは、そこらじゅうのプールを、一気にひっくり返したような感じです。
「またまた来ました!『梅雨明けや意味にもならぬひかくかや。』
「なんか意味深な。それも『アイノちゃん』かい?」
「はい、そうぞな。」
「評論家みたいだなぁ。」
「そ、そ。おわわ。いた。こいつぞな。」
「は?」
乱暴くんが立ち上がりました。
「この衛星、あやしいぞな。完ぺきに。」
「どこの国の衛星さんかな?」
「いやあ、データにないぞな。」
「そんなもの、すぐ、当局が見つけるだろう?」
「いやあ。こいつはある意味、『アイノちゃん』だから見えたぞな。可視光でも、赤外線でも、何でもだめぞな。死んだけど生きてるなんて、霊能力のある『アイノちゃん』だから可能ぞなもし。』
「なんだい? そりゃ?」
「これは、『幽霊衛星』ぞな!」
「はい?」
「しかも、幽霊の集合体ぞなもし。各国の古くて、お払い箱になった連中の集合体ぞな。」
「・・・・・・・・???」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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