『雨はじゅわじゅわととめどなく降る』

やましん(テンパー)

 第1回 『雨はじゅわじゅわととめどなく降る』

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 この稚拙なお話を公開し始めた直後、豪雨災害が発生いたしました。そのため、一旦公開を取り止めにしました。


 あまりに悲惨な状況で、私の親族や知人にも、被災した方がありました。今回、再度、少しずつ公開にいたしますが、被災された方や、また支援者の方、国や自治体の方など、また関係の方のご努力にも、おくやみと、お見舞いと、さらに賞賛をお送りいたしますとともに、早期の復興を祈ります。


 また、こうした天災が、もうこの先、絶対に発生しないことを、願いたいと思います。



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 なにがどうしたというのか、日本上空の雨雲は、いつまでも居座り続けたのです。


 もう、半年以上、時たまやむことはあっても、大体大雨が続いています。


 川は氾濫し、湖も溢れ、海は怒り、おかげさまで、国内の大部分の街は、平均して胸のあたりまでは水没し、ひどいところは、4階の屋根くらいまで沈んでしまったのでした。


 当然、多くの工場も会社も学校も役所も停止しました。


 水道もガスも電気も、交通機関も、ほとんどすべて使えません。


 ラジオや、携帯電話、スマホなどは、電源が確保できれば、多少生き残っておりました。


 がけ崩れや地盤の崩壊も、全国のあちこちで起こりました。


 首都も、まったくの水浸しになりました。



  ***   ***



 ぼくと『乱暴君』は、『いくら事件』の後、何にも悪いことしてないのに大学を


首になり、引き取り手もないので、仕方がないので会社を興しました。


 この市内のはずれまで降りて来て、丘の上の『デイビスビル』という、10階建


てビルの最上階に、研究所兼事務所を開設したのです。


 ここは、『乱暴くん』の、おじさまが所有するビルと言う事で、お安くしていた


だいております。



 『地球異常現象研究所』


 という、いかにも大げさな名前の会社です。


 といっても、オカルト的ではなく、科学的に、異常現象の原因究明と、その解


決を図る会社です。


 まあ、実際には、オカルト的な依頼が多かったのではありますが。


 それでも、それなりの成果を上げて、売り上げはだんだん、伸びて来ておりました。


 社員は、社長のぼくと、技師長の乱暴君だけ。


 しかし、こうなっては、もう、手も足も出ません。


「あああ、また食いそびれるよなあ。もし。」


「はあ、また、『いくら』が増殖しないかなあ。」


「あれは、あの時だけぞなもし。社長さん。こうなったら、食いそびれより、命が危ないぞな。」


「まあね。あ、電話だ。はいはい・・・・え? どなた? え? ええ~


~!・・・・・・・・またあ、あなた方がやってるんでしょう、どうせまた


あ・・・・うそだあ!!・・・・  信じがたい・・・・はあ・・・・・・・・


ほ?・・・・・本当に?・・・・・・・そりゃあ、まあ・・・考えてはみましょう・・・・・・」



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「だれから、かなあ?」


 乱暴君が、そっと言いました。


「官房長官。」


「はあ~? うっそだ~!」


「ほら、そう言うだろう。でも、本当みたい。」


「そりゃあ、担がれてます、ぞなもし。」


「うん。最初はそう思ったが、『いくら事件』の事をちゃんと知っていた。謝った


ぞよ。」


「なんと! で、・・・なんと?」


「うん。この事態を解決してほしいと。それができれば、それなりの『待遇』を考える、費用も支払うと・・・まあ、そういうことだな。」


「そりゃあ、いい話しじゃないですかぞな。解決しましょうぞな。」


「できるの?」


「さあて、気象は専門外ですからねぇ。でも、ま、『いくら』もそうだったしな。


もし。」


「はあ。そうだね、他にすることもないしね。」



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 そこで、ぼくらは、この超異常気象の解決に乗り出したのです。


「政府がやってるに違いないと、思ってはいたが、たしかに、自分の国にやるこ


ととしては、行き過ぎだよな。」


「いやあ、どうせ、また、手が付けられなくなったんでしょう。ぞな。」


「そうじゃないと、官房長官は誓ったからな。」


「信じるのかな、もし?」


「ううん・・・まあ、どっちにしても、解決はしなければね。このままじゃあ困る


だろ。」


「正解。」


 そこで、ぼくらは必至で、この事態の原因探しを、始めました。



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