『雨はじゅわじゅわととめどなく降る』
やましん(テンパー)
第1回 『雨はじゅわじゅわととめどなく降る』
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この稚拙なお話を公開し始めた直後、豪雨災害が発生いたしました。そのため、一旦公開を取り止めにしました。
あまりに悲惨な状況で、私の親族や知人にも、被災した方がありました。今回、再度、少しずつ公開にいたしますが、被災された方や、また支援者の方、国や自治体の方など、また関係の方のご努力にも、おくやみと、お見舞いと、さらに賞賛をお送りいたしますとともに、早期の復興を祈ります。
また、こうした天災が、もうこの先、絶対に発生しないことを、願いたいと思います。
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なにがどうしたというのか、日本上空の雨雲は、いつまでも居座り続けたのです。
もう、半年以上、時たまやむことはあっても、大体大雨が続いています。
川は氾濫し、湖も溢れ、海は怒り、おかげさまで、国内の大部分の街は、平均して胸のあたりまでは水没し、ひどいところは、4階の屋根くらいまで沈んでしまったのでした。
当然、多くの工場も会社も学校も役所も停止しました。
水道もガスも電気も、交通機関も、ほとんどすべて使えません。
ラジオや、携帯電話、スマホなどは、電源が確保できれば、多少生き残っておりました。
がけ崩れや地盤の崩壊も、全国のあちこちで起こりました。
首都も、まったくの水浸しになりました。
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ぼくと『乱暴君』は、『いくら事件』の後、何にも悪いことしてないのに大学を
首になり、引き取り手もないので、仕方がないので会社を興しました。
この市内のはずれまで降りて来て、丘の上の『デイビスビル』という、10階建
てビルの最上階に、研究所兼事務所を開設したのです。
ここは、『乱暴くん』の、おじさまが所有するビルと言う事で、お安くしていた
だいております。
『地球異常現象研究所』
という、いかにも大げさな名前の会社です。
といっても、オカルト的ではなく、科学的に、異常現象の原因究明と、その解
決を図る会社です。
まあ、実際には、オカルト的な依頼が多かったのではありますが。
それでも、それなりの成果を上げて、売り上げはだんだん、伸びて来ておりました。
社員は、社長のぼくと、技師長の乱暴君だけ。
しかし、こうなっては、もう、手も足も出ません。
「あああ、また食いそびれるよなあ。もし。」
「はあ、また、『いくら』が増殖しないかなあ。」
「あれは、あの時だけぞなもし。社長さん。こうなったら、食いそびれより、命が危ないぞな。」
「まあね。あ、電話だ。はいはい・・・・え? どなた? え? ええ~
~!・・・・・・・・またあ、あなた方がやってるんでしょう、どうせまた
あ・・・・うそだあ!!・・・・ 信じがたい・・・・はあ・・・・・・・・
ほ?・・・・・本当に?・・・・・・・そりゃあ、まあ・・・考えてはみましょう・・・・・・」
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「だれから、かなあ?」
乱暴君が、そっと言いました。
「官房長官。」
「はあ~? うっそだ~!」
「ほら、そう言うだろう。でも、本当みたい。」
「そりゃあ、担がれてます、ぞなもし。」
「うん。最初はそう思ったが、『いくら事件』の事をちゃんと知っていた。謝った
ぞよ。」
「なんと! で、・・・なんと?」
「うん。この事態を解決してほしいと。それができれば、それなりの『待遇』を考える、費用も支払うと・・・まあ、そういうことだな。」
「そりゃあ、いい話しじゃないですかぞな。解決しましょうぞな。」
「できるの?」
「さあて、気象は専門外ですからねぇ。でも、ま、『いくら』もそうだったしな。
もし。」
「はあ。そうだね、他にすることもないしね。」
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そこで、ぼくらは、この超異常気象の解決に乗り出したのです。
「政府がやってるに違いないと、思ってはいたが、たしかに、自分の国にやるこ
ととしては、行き過ぎだよな。」
「いやあ、どうせ、また、手が付けられなくなったんでしょう。ぞな。」
「そうじゃないと、官房長官は誓ったからな。」
「信じるのかな、もし?」
「ううん・・・まあ、どっちにしても、解決はしなければね。このままじゃあ困る
だろ。」
「正解。」
そこで、ぼくらは必至で、この事態の原因探しを、始めました。
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