第29話高得点

ああ、今自分の手は震えている。


「エントリーナンバー3版オオタカさんと(自分の名前)さん!どうぞ!」

「う、歌います。打ち上げ花火」


イントロが流れ出した途端、汗が止まらなかった。


「ハイミナサンカミデース、コンカイハイチバンマデカシツキデース」

「あ、あの静かにしてくれませんか…」

「オットゴメンナサーイ、マタモトノセカイニカエリマース」


シュカッ!


「き、消えた!?」

「消えたよな!」

「あ、歌い出したぞ!」


あの日見渡した渚 今も覚えてんだ


砂上に刻んだ言葉 君の後ろ姿


より返す波が足元をよぎり 何かを攫う


夕凪の中日暮れがだけが 通り過ぎてゆく


ぱっと光って咲いた 花火を見ていた


きっとまだ終わらない夏が


曖昧な心を 溶かして繋いだ


この夜が続いて欲しかった


「オオタカさんと(自分の名前)さん!ありがとうございました!」

「あー疲れた!」

「でも上手く言ってたかと思いますよ」

「そうかしら」

「さー得点を見ていきましょー!」

「94点です」

「なんと!2番のイクサ〇イズを歌った名護さんを超えました!」

「いやー凄いですね」

「はい!それでは次の方どうぞ!」

「え、嘘よね」

「いや、本当です」

「やったー!」

「勝てるように頑張った甲斐があります!」


いよいよ発表た!

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