倉本彰吾の告白
せっかくの華凪との旅行だ。いよいよアレを言う時が来たのかもしれない。俺は寝支度を済ませると、重大な決意をした。
「華凪、寝る前にお前に大切な話がある」
俺は息を飲み、寝支度を済ませた華凪にこう言った。華凪は「何?彰吾が私に改まって何か言うなんて珍しい」と俺に言った。そして、
「華凪。俺、お前のことが好きだ。15年間ずっと好きだ。一人の女性として愛している」
俺の告白を聞いた華凪は当初、無反応だった。しかし、ほどなくして、
「私も彰吾が好き。愛してる。やっと私の恋が報われたんだね・・・」
と言ってくれた。そして、お互いの唇が深く、激しく触れ合った。しかし、華凪とは何度キスしたのだろうか。しかし、高校生になってからのキスはもちろん初めてだ。華凪だってそうだろう。これはもう、俺も華凪もファーストキスだと思う。その感触は、脳が溶けるような甘くて、少し辛い感触だった。
◇ ◇ ◇
結局その日の夜は全く眠れなかった。なぜなら俺が華凪にあんなことを言ってしまったのと、すぐ隣で華凪が寝ていたからだ。大好きな彼女が隣で寝ているのだから、夜なかなか眠れなかったのは男として仕方がないことだろう。一方、華凪は疲れていたのか、すぐ寝てしまったようだ。
翌朝、なかなか眠れず、朝早くに目が覚めた俺は露天風呂に入った。華凪はまだ寝ている。早朝の露天風呂はまだ涼しく、東から段々と上がってくる朝日がとても綺麗だった。そして、朝早くに入る露天風呂は目覚めが良くなりそうな気がした。しかし、昨日相当海で陽に灼けたせいか、まだヒリヒリする。
そして風呂から上がると、さっき起きたばかりだという華凪とともに朝食を取るためレストランに向かった。朝食はビュッフェ形式だった。お腹が空いていた俺はパンやらビザやらパスタやら色々食べることにした。華凪も大体そんな感じで朝食をとる。
「華凪、朝からそんなに食べるのか。お前いっつも食べてばっかだし、いつか太るぞ?」
「私、いくら食べても太らないもん!彰吾だっていっぱい食べてるじゃん」
「年頃の男の子はたくさん食べなければいけないの!」
食事を済ませると、2人で売店に行き、昨日同様、土産物を色々買った。売店で土産物を買い終えるとそのままチェックアウト。ホテルを後にした。時刻は朝10時前。夕方に横浜に戻るとして、時間はだいぶある。どうしようか。
結局、遊覧船に乗ることにした。海からの風が涼しく感じる。ここ数日の暑さも忘れるくらいだ。昼食は、地元の食堂で食べることにした。さすが伊豆、海鮮丼が美味しい。そして華凪も海の幸を堪能していた。
昼食を食べ終えると、2人でぶらぶら回ることにした。観光地ということもあって、土産物屋がいっぱいある。結局、色々伊豆のお土産を購入し、夕方には横浜に戻った。
2人がそれぞれの家に戻る頃には、もう陽は完全に西に傾いていた。俺と華凪はお互いの家の前で一度足を止める。そして、
「彰吾、2日間付き合ってくれてありがとう!私、彰吾の恋人になれてすっごく嬉しいよ。この旅行は一生忘れないからね、ダーリン♡」
と幼なじみであり恋人でもある桜木華凪は最高の笑顔とともに、俺にそう言ってくれたのであった。
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