倉本彰吾の決意

夏休みに入ると、早速8月に突入した。8月に入ると早速、華凪と旅行に行くことになった。しかし、連日のようにうだるような暑さだ。都心部でも40度近い気温になるのはもはや日常になっていた。




当日の朝、俺と華凪は地下鉄に乗り、新横浜から熱海までは新幹線を使い、2時間以上かけて伊豆の海水浴場に到着した。海水浴場に着くと、水着に着替えるため、お互い更衣室に入った。そして程なくして、シャワーを浴びたのか、少し濡れた華凪が現れた。




「大好きな彰吾のために、この間渋谷で買ったの。似合ってる?」




可愛い!可愛すぎるぞ!桜木華凪さくらぎかなぎ!しかし、やっぱり華凪は可愛い。綺麗で長い黒髪に、雪のように白く透き通った肌。しかし、人気アイドルが今ここで、俺のことを大好きだって言ってくれているんだよな・・・




海水浴場では2人で浮き輪に乗ったり泳いだり、そしてビーチパラソルの下で2人でイチャイチャしてた。




「ねー、彰吾。向こうの女の子ばっかジロジロ見てない?」


「いやいや!俺は華凪しか見てねぇよ!」


「ほんとに?」


「本当だって!」


「そう・・・なら信じてあげる」




写真集やグラビアで華凪の水着姿を見る機会は何度かあったが、華凪の水着姿を生で見るのは久しぶりだ。多分小学生以来。しかし、やっぱり華凪は胸デカいな・・・






そして夕方になりホテルに向かった。チェックインを済ませると、早速部屋に入った。部屋は最上階丸ごとのスイートルームで、伊豆の海が一望できるらしい。




「ねぇ彰吾、見てー!周り海しかないよー!地平線も見えるよ!」




部屋に入るとすぐ、華凪はベランダに張り付いていた。そして、




「ここ、専用の露天風呂あるじゃん。さすがスイートルーム」




俺は部屋に入るや否や、その露天風呂に入った。部屋の中に階段があり、階段を登り、更衣室のドアを開けると、そこには露天風呂があった。伊豆の海が一望できる。真奈が言っていた通りに、周りは海しかないし、地平線も見える。そして夕方になり、どんどん西に傾く夕陽が綺麗だった。しかし、夕食まで時間あるし、それまで温泉でも楽しむか。




夕食はバイキングだった。伊豆という土地柄もあって、海の幸が豊富だ。板前さんが目の前で寿司を握ってくれるし、今日、水揚げされたばかりのマグロの解体ショーもあって、解体したばかりのマグロをその場で食べることもできた。




「彰吾、さっき風呂入ってたでしょ?」


「バレたか」


「うん」


「しかし、露天風呂が絶景なんだよな。伊豆の海が一望できるし、周りは海しかないし、地平線も見えるし・・・」


「そうだね・・・私も知ってるよ。でも、せっかく同じ部屋なんだし、彰吾と一緒に入りたかったな・・・」


「えっ・・・」


「私は彰吾と一緒に露天風呂に入りたかったの!」


「ま、待て!早まるな!俺たちまだ高校生だし・・・」


「裸ならもう何度も見たでしょ!それにお風呂だって何度も一緒に入ったし!」


「それ何年前の話だよ!当時とはもう色々違うんだぞ!」


「そうだね・・・私達、もう高校生になっちゃったんだね・・・」




食事が終わると、部屋に戻った。その間、2人はただひたすら沈黙していた。そして華凪は、上にある露天風呂に向かった。ほどなくして、上から華凪の独り言が聞こえてきた。何を言っているかまではわからなかったけど。しばらく経って、華凪が露天風呂から上がってきた。風呂から上がったばかりの華凪は髪の毛が濡れてて綺麗だった。浴衣姿も良く似合う。俺は風呂から上がったばかりの華凪を卓球に誘うことにした。華凪は俺の誘いに乗ってくれた。そして卓球場に向かった。そして卓球勝負の結果は・・・




華凪の完勝だった。俺は負けた側の罰ゲームとして、華凪にジュースをおごることになった。華凪は上機嫌だ。「私、卓球が得意なこと忘れてたでしょ〜」とまで言っていた。




そして卓球が終わると、売店で伊豆の土産物を色々と買い、部屋に戻った。もう12時近くじゃん。そろそろ寝ようか。しかし、せっかくの華凪との旅行だ。いよいよアレを言う時が来たのかもしれない。俺は寝支度を済ませると、重大な決意をした。




「華凪、寝る前にお前に大切な話がある」




俺は息を飲み、寝支度を済ませた華凪にこう言った。

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