第2章 アルメイダの霊廟
第10話 あいつらと俺達は生きている世界が違うんだ!
アルメイダの
うになった者は他のダンジョンへ行っても通用する。
ただし、霊廟で挫折する冒険者が後を絶たない。
初心者ダンジョン以外のダンジョンは時折道が新しくできたりアイテムが出
現したりする。ボスを倒さなくても転移門が多くあるのも特徴だ。みんなはデ
スッてるけどね。
霊廟で一番恐ろしいのは毒だ。ほとんどのモンスターが毒持ちで冒険者を
りにきてるんだよ。
だがうちのパーティーはひと味違う。
「毒? そんなの魔法でいくらでも治してあげるわ!」
「どれぐらい使えるかわからないから毒消しも持って行こうと思ってるんだ
けど」
「わたしを
軽く使えるわ」
「エリー様! さすがです!」
「それジャックみたいで気持ち悪いからやめて」
ジャック……。エリーの中でジャック株大暴落中みたいだよ。優しいし面倒
見良くて、その上イケメンだと思うけどなぁ。女の子の好みはよくわからない
ね。
「とりあえず一回挑戦してみて危なかったらすぐに逃げよう」
「わかったわ! 楽しみね」
「そうだ、聞き忘れてた事があった」
「なに?」
「初心者ダンジョンでエリーが巨大スライム相手に氷魔法で戦ってた理由」
「だって、氷魔法ってかっこいいじゃない! 相手を永久に凍らせる、まる
でわたしのために用意された魔法だわ!」
「え、えぇ……。」
この頭魔法使いに巨大スライムと霊廟のモンスターの弱点は炎でそれ以外は
ほとんど効かない事を言い聞かせた。それでも氷魔法を撃ちたがっていたので
雑魚のスライムだけに氷魔法を使う許可をした。
俺は魔法使いに
俺にとって2回目の霊廟。1回目はレアゲットできたがスケルトン相手にデ
スらされちゃった。
今回は警戒も隠密もある。何よりもエリーがいるし少しは戦えるはずだ。
「後ろはわたしに任せなさい! ロックは前だけを見てればいいのよ」
なんとも頼もしい。まるで前衛のリーダーみたいだ。
「ありがとう。後ろは頼んだよ」
入り口にいる霊廟の管理人のお爺ちゃんに挨拶をする。
「こんにちはー。ロックとエリザベスの2人で入ります」
「ロックも霊廟再挑戦か。念入りに準備しとると聞いたぞ」
「今回はパーティーも組みましたからね」
「お嬢ちゃんは霊廟初めてだね。気をつけて行くんじゃぞ」
「えぇ! ありがとう! お爺ちゃん!」
ほっほっほと笑う管理人さんを後に霊廟の中へと歩を進めていく。
「警戒を常時発動」
前回ゆっくり近づいてきた武器持ちスケルトンに気づかなかった事を教訓に
していた。常時発動させると警戒範囲が狭くなる。
霊廟のモンスターは最弱のスライム、スケルトン、武器持ちスケルトン、グ
ールがよく知られている。他にもいるらしいが未だによくわかってないのが現
状だ。中級のダンジョンと言われている霊廟も最深部に
誰もいないからね。
だからアルメイダの霊廟と呼ばれているけどこのアルメイダという人物がい
つの時代の誰なのかという事もわかってないんだって。
この霊廟でメインとして現れるのがスケルトン。通称スケさん。主なターゲ
ットはこいつ。その中でたまーにいるのが武器持ちスケルトンと呼ばれている
武器を持ったスケルトンだ。前回、俺が一撃でやられちゃったやつ。
たぶん今の俺なら奇襲さえ警戒できているなら負ける事はないと思う。
そして一番ヤバイと言われてるのがグール。冒険者のほとんどは遭遇すると
ほぼデスる。素早い、力強い、攻撃がカスッただけで毒になるという強力なモ
ンスター。
グールに遭遇したらアイテムやお金を拾い集めデスる準備をしろとまで言わ
れている。
浅い階層には出現しないから今日は大丈夫だろうと思っている。
おっと、警戒に反応ありだ。手を上げてエリーに知らせる。エリーの方でも
察知できたようだ。
「隠密」
2人で隠密を使い反応があった方へ進む。スケルトンが一体。警戒は発動し
たまま攻撃に移ろうとした。
その時、隠密を使って気づかないはずのこちらにスケルトンは突っ込んでき
た。……バレてる!
愛用の片手剣を抜き放ちスケルトンへ斬り掛かる。スケルトンはこちらの動
きについてこられないようで、そのまま袈裟切りにすると
えていった。
「どういう事だろ」
「隠密の効果全くなかったわね」
少しの間考えているとエリーが言った。
「スケルトンって不死モンスターよね? 不死モンスターはわたし達生きて
る者を感じ取ってると聞いた事があるわ。それで隠密を見破られたのかも」
「んーそれじゃ、隠密を使うけど見破られる前提で進んで行こうか」
その後もスケルトン何体かと戦ったがいずれもこちらを見破ってきたから確
定かもしれない。スライムはこちらに気づく事もできずに核を貫けたしね。
「5体目。確定ね。あいつら隠密効いてないわ!」
「あいつ武器持ちスケさんだ。危なくなったったら援護お」
ドカーン
武器持ちスケルトンは跡形もなく吹き飛んだ。
「詠唱破棄の初歩で吹き飛ぶなんて雑魚ね」
「あ、あぁ。そ、そうだね」
「ロックばかり戦ってるからわたしも参戦してみたわ!」
「タイミングも完璧だったよ」
あんなの喰らったら俺も一発でデスる。
スケさん狩りを続け俺も武器持ちスケさんを相手にしてみたが難なく倒せた。
自分が強くなってるのを実感できた。
「かなり稼げたし今日はそろそろ帰ろっか」
今日はまだ流動してない出口に向かって歩き出した。
「「カンパーイ!」」
宿屋へ戻ると2人でお祝いする。こういった事はパーティーで重要だよね。
いつも通りエリーは豪快に飲んでいる。
「ゲフゥ! 一気に飲み過ぎたわ!」
本当に豪快で俺が見習いたいぐらいだ。貴族の一人娘としてはどうなのか。
エリーは昔からこんな感じだったのかな。
もっと仲良くなったら聞いてみるのも良いかも。
「どう? 今日のわたし、初めてにしては上出来だったでしょ!」
お酒を更にグビグビと飲みながらエリーは聞いてくる。
「上出来どころか満点だね。俺が初めて行った時はすぐにデスらされちゃっ
たぐらいだから」
「ふひひひ。次は中位魔法で盛大に吹き飛ばしてやるわ」
魔法使いのお婆さんのような変な笑い声をあげて、とてつもなく物騒な事を
仰ってる。ダンジョンを壊すのだけはやめてね。
「今日は毒にならなかったから良かったけど魔力は温存してね?」
「なに言ってるの? 何度も毒になってたのを回復させてたわよ! 詠唱破
棄で気づいてなかったのね。次は詠唱ありでやってあげるわ」
……。俺はもっとエリーに感謝しよう。いや、しなければならない。
「エリー様! ありがとうございます!」
「だからそのエリー様っていうのやめて!」
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