第3話 最後の週末を一緒に

___です。現在、____は____、__________ます____時間で_____する___です。繰り返します。________________


二人の少女は山道を抜けた先の野原に腰を下ろしていた。空には満天の星空が広がっていた。


今日は日曜日。高校最後の週末だ。私の隣にいるのは、今好きな人。告白しようかな。


今日は日曜日。高校生最後の週末。私の隣には、今思いを寄せている人。思いを打ち明けようかしら。


でも、女の子に恋するなんて変だよね。きっと気持ち悪がられちゃう。


断られるにきまってる。だって、女の子が女の子を好きになるなんておかしいもの。


でも、最後だし。最後だもん伝えたいよ。


やっぱり最後だし伝えた方が良いに決まってるわ。


「「あの、」さ」


「そっちからどうぞ。」


「いやいや貴方の方からどうぞ。」


「じゃあ、私から。」


「ずっと、あなたのことが好きでした。って気持ち悪いよね。女の子からこんなこと言われても。」終わった。この恋も終わった。きっと断られるんだろうな。あーあ、もっと前に告白すればよかった。


そんな、これは神様がくれたプレゼントなのかしら。頑張ってきたご褒美なのかしら。「あ、あの私も貴方のことが、好きです。」


「え!?じゃあ、私達両想いだったってこと?」


「そうなりますね。」


「そっか。」


一人の少女が笑いだす。それにつられてもう一人の少女も笑い出す。二人の距離が近くなる。そして小指が触れる。そのまま手を繋ぐ。固く固く繋ぐ。決して離さないように。


___です。現在、____は____、__________ます_____分で_____する___です。繰り返します。________________


「あ、あのさ、最後だしキスしない?」


「はい。もちろんいいですよ。」


二人の距離はもっと近くなる。影と影が重なり合う。


「もっと早くに伝えておきますおけばよかった。」


「そうですね。勇気を出していればよかったです。」


「あ、あれじゃない?巨大隕石。」


「そうですね。」


今日、地球には巨大隕石が落ちるという。さっきからラジオで伝えられているのはこのことだ。


今日は日曜日。地球最後の週末だ。私の隣にいるのは、好きな人。そして、今恋人になった人。


今日は日曜日。人生最後の週末。私の隣には、大好きな人。私の恋人。


続報です。現在、巨大隕石は地球に接近中、NASAの発表によりますと約10分で衝突する見込みです。繰り返します。________________


空には満天の星空が広がっていた。二人の少女は山道を抜けた先の野原に腰を下ろしていた。しかし、その手は繋がれていた。二人は笑顔で空を見上げていた。


夜だというのに空がやけに明るい。これは巨大隕石が地球に落ちようとしているからだ。


「好きだよ」


「私も好きです。」


二人の少女は最期まで手を離さなかった。最期は笑顔で顔を見合わせていた。




巨大隕石が地球に衝突するまであと_________


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不完全なワルツ 桜森 ナナ @nana_00

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