第2話 押しかけ女房

__接近___



ピコーン

ん?メッセージの通知だ。誰からだろう。

[まみ:明日お家にいってもいいかな?]

明日は予定なんもなかったよな。

[いいぜ!]

いや、こんなテンションおかしいな。

[分かった。掃除しとく(笑)]

こんな感じでいいか。送信して、宿題の続きするか。




次の日

よし、掃除もオッケー、話題のマカロンも買ったし完璧だな。

ピコーン

[今から行くね]

[おっけー]

ピンポーン「まみでーす。」

はやくね?まだ返信してないんだけど。

「はーい、上がって。」

「お邪魔しまーす。これ、この前テレビでやってたマカロンなんだけど、あ。」

「ははは。」

「かぶちゃったね」

「ま、まあおいしいらしいし。」

「そうだね」



別の日

「あのさ、これ作りすぎちゃって。」

「ん?」

「肉じゃがなんだけど、嫌いだった?」

「いや、大好物だよ!」

「ほんと?よかった!」

「じゃあ、夜ご飯にでも食べてね。」

「あんがと。」


彼女が帰ってから肉じゃがを温めなおして食べた。

「うま。」

その日、俺は明日の弁当の分の白米まで食べつくしてしまった。(肉じゃががうますぎて。)


この日の後も何度か家に遊びに来た。映画館とか遊園地にも行った。それから手料理も食べさせてもらうことも増えた。もちろん、泊まることも。そんな感じで休日はほとんどまみと過ごすようになっていった。手料理ってもうこれ脈ありじゃね。次、告白してみようかな。


ピコーン

[明後日お家に行ってもいい?]

[もちろん!{スタンプ}]

[なにそのスタンプ笑]



次の次の日

「今日はロールキャベツだよ。」

「うわ、うまそう。早く食べようぜ。」

「うん。運ぶの手伝って。」

「ああ。」


食後

「あ、あのさ。」

「ん?」

「これ、最近家来るようになっただろ。」

違う!順番逆だろ!いきなりカギを渡すのはおかしいだろ!好きって言えよ!ガキじゃないんだからさあ!付き合ってくださいって言えよ!

「え?」

ほら彼女困ってんじゃん!

「えっと、その」

「その?」

「好きです!付き合ってくだしゃ、、さい!」

噛んだ。最悪だ。かっこ悪…

「ふふふ。こちらこそよろしくお願いします。」

よっしゃ!やった!こんなに美人で優しくて可愛い彼女とか最高じゃん!




それから数年後

大学を卒業して俺達は就職した。それで、ボロアパートは引っ越して新しく部屋を借りて同居している。

「あのさ、あの時の約束って覚えてる?」

「え?」

「あの、幼稚園の時に、私が引っ越す前にした、」

なんだったけか。あ、そうだ、あれか。

『ぼくたち、おとなになったらけっこんしようね!』 『うん!』

『そのときはりゅーくんからぷろぽーずしてね!』 『まってるね!』

ここはサプライズで驚かせてやろ。忘れたふりでもするか。

「そんなことあったけ?」

「そう。」

やば、めっちゃ怒ってる。思い出したって言うべきだったか。



それから数年後

「やっと家買えたな。」

「そうね。」

「あんまくっつくなよ。」

「いいじゃない。」

マイホームも持ったし俺はこんな美人な妻がいて、しかも料理は上手で優しいし。しかもこの生活がずっとこれから続くんだよな。最高じゃないか。



別の日

「ただいま。はあ。」

「おかえりなさい。どうしたの、ため息なんてついて。あ、ごはん温めるね。」

「ありがと。それが仕事で失敗しちゃって。大事な商談だったのに。」

「そっか。それは大変だったね。」

帰ったら愛する妻がいて、しかも愚痴を聞いてくれるなんて。それだけでなんか癒されるわ。

「でも、大丈夫だよ。」

「?なんで?」

「え、だって」


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