第2話 押しかけ女房

ファーストコンタクト____


ピンポーン

ん?宅配便か?

ピンポーン

誰かと約束してたか?まあいいか。

ピンポーン

「はーい!」

うるさいな。今行くって。

のぞき穴を見ているか。なんか怪しいしな。

誰だ?大学の知り合いだっけか?クラスにはいないよなこんな美人サークルにいたか?いや、こんな美人はいないな。誰だ。

ピンポーン

しょうがない、開けるか。

ガチャ


「あの、どちら様ですか。」

「えー、覚えてないの?私だよ。りゅう君。」

は?俺の名前を知ってる?じゃあ、元カノとかか?思い出せないな。ここは正直に覚えてないってこと伝えた方がいいな。

「すまん。覚えてないんだ。」

「そっか。幼稚園以来だもんね。」

幼稚園?覚えてるわけないだろ。なんか怪しくないか。

「私は中國 真海。」

「なかくにまみ?」

「ほら、まーちゃんって呼んでくれてたの覚えてない?」

「あー!まーちゃんか。」

思い出した。幼稚園の頃家が近くだったこともあってずっと一緒にいた女の子がいたんだ。確かその子のことはまーちゃんって呼んでたんだよ。でもまーちゃんは小学校に上がる前に引っ越しちゃったんだよ。あの時は俺はすごい泣いてたな。

「よかった。思い出してくれて。」

って思い出に浸っている場合じゃないな。


「喉乾いただろう、お茶淹れるよ。」

「ありがとう。」

「そういや、なんでここに来たんだ?」

「この前引っ越してきて。」

「そうなんだ。ほい、お茶。」

「ありがとう。ていうか部屋掃除してる?」

人が来る予定なんてなかったから汚いんだよ。あんまり見ないでくれ。

「そんなことよりさ、どの辺に住んでるの?」

「え?あー、菖蒲が丘っていうところ。」

「へえ、じゃあ結構近いんだな。」

「そうだ、これお土産。」

「お土産?」

「中身は菊月県の火山せんべい。」

俺の大好きなやつじゃないか。すごい辛いんだけど癖になるんだよな。

「あ、辛いの苦手だった?」

「いや、むしろ逆だよ。これちょー好き!ありがとう!」

「よかったぁ。」



この後しばらく雑談をした。すごい美人だし、俺のタイプだな。

「うそ!こんな時間!」

「どうしたんだ?」

「いや、バイトの時間なんだ。」

「そっか。じゃあ、しょうがないな。」

「今日はありがとう!楽しかったよ。また、来てもいいかな?」

「え?あ、ああもちろんいいけど」

美人だし。連絡先交換できないかな。そうだ!

「あのさ、」

「ん?」

「連絡先交換しとかない?来る前に連絡してほしいなって。俺、いないときもあるし。」

「そうだね。部屋も片付けないといけないもんね。」

「そうだな。次は綺麗にしときたいもんな。」

やめてくれ…部屋が汚いのはたまたまなんだよ。

「それじゃあ、またね。」

「おう、またな。」

笑顔もかわいいな。ってやば、俺顔変じゃないか?にやけてない?

「もう、昔みたいにまーちゃんって呼んでよ。」

「いや、それは恥ずいから…」

知り合いに見られてないよな。超恥ずかしいんだけど。






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