第98話 さばんな 紫蘇 1600 右 冬 晴 良

〜前回のあらすじ〜


「ハッピーバースデー!オイナリちゃん!!」


「っ…!!

リンはいつもそうですね…!守護けものたちのことをなんだと思っているのですか!?」


「ツッコミ要員」


「はい!?!?!?!」



   *



「いやー、絶好のレース日和だねー」


「どうしたんですか? 急に」


「どうもこうもないよ!

こんな良い天気なんだからイベントとかあって当然でしょ!

あと、私って狩猟豹チーターだし? やっぱり最速の称号は譲れないっていうか……?」


「その設定まだ生きてたんですね」


「生きてるよ!?」


「あはは……リンちゃん、そこは “ 設定じゃないよ ” って否定しないと」


「そっか、確かにそうだね。かばんちゃんは賢いね〜」ナデナデ



リンとアノンのやりとりに思わずツッコミを入れたところ撫でられることになった かばん。

このままではイチャイチャタイムに入って話が纏まらなくなってしまうのは確定的に明らかである。


しかしね、君……地の文わたしたちとしては、読者に状況を丁寧に説明する立場にいるのだから……


閑話休題₍₍ ʅ(🎃) ʃ ⁾⁾よく喋る!



「レース日和とは言っても急じゃないですか?

ほら、準備しないで走って怪我するといけないですし」


「アノンちゃんは慎重だね。

でも確かにせっかくなら芝のコースとか整備した方が良いかもね」


「芝ですか……手入れが大変そうですし今から用意してては時間が掛かりますね。

あっ、もっと繁殖力がある植物で代用できませんか?

ハーブとか紫蘇シソとかならいっぱい生えてるのでちょっと植え替えるだけでなんとかなるかと……」


「案外そういうのも変わってて良いんじゃない?

ハーブは雑草と交配して何とも言えない感じになっちゃいそうだから紫蘇でやってみよっか」


「はい! ということで植え替えたものがコチラです」



指し示された先には一面に紫蘇が生い茂る一周1600mのコース。

3分クッキング感覚で既に用意されていたことに疑念をいだいてはならない。

絶滅危惧種といえど 1話1000文字以下 のタグは一応まだ生きているのだ。



「最速な私は導入も最速だからね!早速選手を紹介していくよー!


一番、サーバルちゃん。紫蘇のコースで実力を発揮できるか注目だね。


二番、ヌオーちゃん。受け特化のこれ以上ない仕上がりで好走が期待できるよ。


三番、生命と大地と轟破の決断パーフェクト・ネイチャーちゃん。お馴染み殿堂ぅ……なんちゃって!地味ながら擬似マッハファイターも良いパフォーマンスを発揮しそうだね。


四番、サラブレッドあおかげちゃん。

実力は完全に上位だね。貫禄すら感じちゃうね。

私イチオシのウマむすm――フレンズだよ!


五番、十二獣じゅうにししサラブレードちゃん。1600といえばやっぱりこの子!

今日はどんな走りを見せてくれるかな?


さぁ、最速の称号は誰の手に!?」


「あれ?リンさんは走らないんですか?」


「チーターだからね。短距離なら得意だけどマイルは長いから走らないよ」


「えぇ……」


「観るのを楽しみたい気分だから実況もアノンちゃんに任せるよ、いいね?」


「アッハイ」


「ツッコミ役が居ない時のリンちゃんは自由度が高くて良いですね」


「この空間には かばんさんも含めてツッコミ役が居ないみたいですね……


あっ、そうこう言ってる間にスタートしました!

各選手、集中してますね。綺麗なスタートを切りました。

先頭ハナを進むのはサーバルさん。ペースが早いですがこれは正解でしょうか?

2番手争いは十二獣サラブレードさんとサラブレッドあおかげさん!

そこから大きく離れてヌオーさん!

生命と大地と轟破の決断さんの姿は見えません……いえ、最初から居なかった気がしますがこれはもう審議も不要で失格です!」


「あ゛ぁ゛ー、私の66兆2000億がぁー!?」



競走馬どころか動物ですらない概念呪文に大金賭けてる主人公やつ居る〜?居ねえよなぁ〜?

あと賭けるなら120億にしろ。



「残り600mを通過、ここからスパート!

レースが大きく動きます。サバンナの直線は短い※諸説ありですが後ろの子達は間に合うでしょうか!?

あおかげさんがサーバルさんに並ぶ――いや、並ばないっ!?並ばず差し切りました!

そのままゴール!」



あおかげとサーバルに続いてサラブレード、かなり遅れてヌオーがゴールイン。

改めて思うとなんだこのレースは!何の日だ!!

ぃみゎかんなぃ。。。。もぅ マヂ無理。。。グミ見ょ。。。




「いやー、良いレースでしたね。ところでリンさん、どうしたんですか?」


「66兆2000億……踏み倒さなきゃ……全力で」


「リンさん!?」


「行っけー!サラブレードちゃん!」



ペチッ


ヌオ?




弓を持った猪ワイルドボウへと姿を変えた十二獣サラブレードがヌオーを攻撃。(メイン2に)来るぞ読者!


殺伐としたレース場にトリシューラが!!

 \流星輝巧群により降臨/

天 霆 號 ア ー ゼ ウ ストポロジック・トゥリスバエナ





「何ですかこの破壊力高そうな組み合わせは!?

もしかして今回は爆発オチですか!?

更地になる前に逃げないと……ってアレ?」



ヌオーの

しめりけ


野生の アーゼウスは

ネガロギア・カタストロフを 使えない!



「……なんか助かったみたいですね」


「大惨事にならなかったからとにかくヨシ!」


「そんな現場狩猟豹みたいなこと言っても誤魔化せませんよ?

どこに払うか知りませんけど、ちゃんと66兆2000億払った方がいいですよ」


「あー、負債がたまってる・・・ってやつなのかな?

しょうがないにゃぁ・・・いいよ。

オイナリちゃんのとこの賽銭箱に入れとくね!」


「そんな国家予算みたいな額が賽銭箱に入るんですか……?」


「いやー、きついでしょ(即答)」



ちなみに2023年度の国家予算は約114兆4000億円とのこと――まぁ、誤差だよ誤差!



「オイナリちゃんも毎日おみくじ10連無料とかやってくれてたし還元していかないとね」


「そんなことやってたんですか!?」


「10連だと小吉以上確定だからね。皆が幸福で居られるように色々考えてくれてるんだよ」


「なるほど。……なるほど?」



納得していないアノンを余所に賽銭箱を襲撃しに向かうリン。

大金vs容量。上回るのはどちらか――


Park Defense Fox 7 begins now .




     オイナリサマ逃げて超逃げて(小声)

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