第88話 魂写しの同化

~登場しない人物紹介~

・つなぎちゃん

JA広島中央のマスコットキャラクター。

合併20周年を記念し2018年4月に誕生した。

現在勝手にコラボ中の『アミメキリンと謎のヒト』(https://kakuyomu.jp/works/1177354054885171827 )の方が約1週間の差で先に公開されている。すごい!




   *




「どんなセルリアンが出たのかと思ったら、これは予想通り……」


飛竜ワイバーンですね」

「ワイバーンね」


「しかも」

「一体」

「だけでは」

「ない」

「みたい」

「です」

「ね」


無駄にセリフを分割する高度なテクニック。

(仲良しアピール以外に意味は)ないです。



「飛んでて手出しが難しいだけみたいだしサクッと片付けちゃおうか」



サンドスターを圧縮した光弾を雑に連射するリン。

二体のセルリアンはあっさりと爆散する――はずだった。



「効いてない!?」


「そんな」

「ことが」

「ある」

「なんて!」



二度目のセリフ分割。

(緊張感の欠片も)ないです。



「どうしたんですか、リンさん?

サクッと片付けるんじゃなかったんですか?

まさかこれで終わりなんて言いませんよねぇ?」



ここぞとばかりに挑発するつなぎ。いいぞ、もっとやれ!



「えぇ……なんで味方に煽られてるの?」


「攻撃が効いてないからじゃないですか?

それで、対策はあるんですか?

場合によっては私だけでも逃げますよ!」



安定と信頼の主人公力である。



「今ので倒せないってことはあのセルリアンはこの世界のものとは違う性質を持ってるみたいだね。

予想が正しければ、この世界の力を受け付けないだろうし私だけだとちょっと厳しいね……」


「なるほど、逃げろということですね!」


「見切りをつけるのが早いよ!?

確かに厳しいかも知れない。そう、私だけならね。

今は運良くつなぎちゃん達が居るからなんとかなるよ。60%ぐらいでね」


「まあまあ不安!!」


「60%なら大丈夫だよ。むしろ90%とかが一番怪しいから」


「どういう理屈なんですかそれ……」


「アノンさん、ここは僕達に任せてください。

僕が本気で戦ったらあんなセルリアンなんて5秒後には返り血に染まってますよ」


「負けてるじゃないですか」


「流石に5秒で負けはしないだろうけどね。

燃費的な意味で厳しいのは確かだし最初から奥の手でいくよ!」


「奥の手?」


「まあ安心して見ててよ。

いくよ、つなぎちゃん!合体!!」



100%がけものプラズムで構成されているリンの体が空気中へと舞っていく。

その直後、つなぎを包み込むように眩い輝きが集まった。



「……うん、良い感じだね。つなぎちゃん、調子はどう?」


「悪くないですね。力が溢れ出てきてるのに自在に操れてるような感じですよ」


「そっか、私達思った以上に体の相性が良いみたいだね」


「では次は能力の相性が良い事を証明しましょうか」


「そうだね。私達が力を合わせたら1+1で2じゃなくて200だよね。10倍だよ、10倍!」



誰もが「100倍の間違いなのでは?」と思ったが日頃の発言があまりにもアレなので無慈悲にもスルーされた。賢明な判断である。



「まずは小さい方を倒しましょう」



そう言うとトキモードでセルリアンに向かって飛び立つ。



「いつもより身体が軽く感じますね」


「そりゃそうだよ。私、おもみマイナスに極振りだからね」



※おもみをマイナスの値にできてしまう問題は修正済みです。



「さあ、そのまま武器を出して突っ込むよ!」



飛行能力はそのままに2本のスピアを生成し、構える。



「なるほど、こういうこともできる訳ですか……

なら追加でこうしちゃいましょう」 ブォン!! パッカーン!



更にパンダのパワーを発揮し、強烈な攻撃を叩き込み瞬殺する。

複数の動物の力を駆使する今の彼女達は紛れもなく合成獣キメラのフレンズである。まだ少し例のコウの事を引きずっているのはご愛嬌ということで……



「ナイスアタック!まずは一体倒せたね。

アミメキリンちゃんs、アノンちゃん、私達の活躍見てくれてるー?」



相変わらず緊張感に欠けるノリで遠くの三人に向かって叫ぶリン。

その時の三人はと言うと――



「どう見ても氷よ!あの見た目で氷属性以外が弱点なんてあり得ないわ!」


「いいえ、属性は通らないタイプに違いないわ!

現にあの二人も物理で倒してるわ!」


「まあまあ、安全に倒せたらそれでいいじゃないですか」



絶賛喧嘩中(&仲裁中)であった。



「あんまり見てくれてなさそう!」


「リンさんは見られて興奮するタイプなんですか?」


「つなぎちゃん、勘違いされちゃうから言い方に気を付けてね。

まぁ注目されるのは好きだよ。ずっと昔からね」


「今注目されても見られてるのは僕なんですけどね!」


「そういえばそうだったね。あっ、そうだ(唐突)

予想より消費が激しくて合体維持が厳しいなぁー。

これは一旦解除するしかないねー(棒読み)」


あくまでも燃費の悪さが原因である(本人談)

自分が目立たないからと言ってやる気を無くす主人公が何処に居るんですか!

居たら教えて下さい!読みに行きます!コメントもします!問答無用でレビューされる覚悟の準備をしておいて下さい!良いですね!?



「リンさん、少し質問良いですか?」


「何かな?」


「合体を維持できるのはどのくらいと予想してましたか?」


「30分くらいだね」


「そうですか、それでさっき合体してたのはどのくらいの時間でした?」


「30分くらいだね」


「そこにワイバーン型のセルリアンが飛んでますね」


「飛んでるね」


「真面目に戦ってればあれくらい倒せたんですよ」


「あれはつなぎちゃんが倒してくれるよ」


「なのです!」



つなぎちゃん(整備士)参戦!!

不意打ち同然に金属の塊であるレンチを投げつけられて耐えられるセルリアンなどそうは居ない。

とはいえ此処は戦場、油断する方が悪いのだ。



「ついに……やったんだね」


「そうみたいですね、見てくださいリンさん。青空ですよ」



見上げればそこには一面の青空。……元からである。

いかにもセルリアンが天候に悪影響を与えていたかのようなやり取りだが、そのような事実はない。



「あ、オイナリちゃん。ラスボス撃破後用のBGM流すの忘れないでね」


料理対決一戦目で大量に作られた いなり寿司を食べに来ていただけにもかかわらずBGM要員にされるオイナリサマ。ドンマイ!


「出来ませんっ!私の仕事はパークの平和を守護まもることです!」


「違うよ?オイナリちゃんの仕事は音楽を流すことだよ」


「あぁっ……!Wi-Fiも無しに通信するとエゴサ用の容量がっ!!」


良い感じのBGM.netに接続させられるオイナリサマ。

ラジカセをポチポチしていた頃の彼女の姿はもうないのだ。



「帰りましょう、リンさん。アミメキリンさんとアノンさんが待ってますよ」



オイナリサマの残念極まりない様子を目の当たりにしながらシリアス的なノリを続けるつなぎ。

この精神力の強さは見習いたいものである。




一方、その頃のアミメキリン達はというと――



「これで分かったわね?

弱点を見抜くのは私の方が上手うわてよ!

その証拠に貴女の弱点は……ここね!」


「んっ……/// それは卑怯よ!

私の弱点なんて今は関係無いはずよ!……ぁ///」



「あーあーあー、私は何も見てません聞いてません!」


喧嘩継続中(&現実逃避中)であった。

なお、この喧嘩の詳細は本筋とは無関係なのでここでは割愛させて頂こう。



「こっちはこっちで盛り上がってたみたいだね。

みんな無事で良かったよ。協力してくれてありがとね、つなぎちゃん」


「いえ、結局僕は大したことしてませんよ」


「そんなことないよ。美味しいところは持って行かれちゃったけど、合体とかなかなか出来ない体験だからね」


「美味しいところといえばまだ料理対決の途中でしたね。早く戻って続きをしましょう!」



次回、せっかく中断された料理対決が再開される――



多分。

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