第85話 大喰いを呼ぶ儀式は簡単だ。大量の食事と、大量の食事、そして、大量の食事を用意すればいい。――儀式大全 第4巻 67ページ

~これまでのあらすじ~


「忘れちゃったよ、あらすじなんて言葉……」


「それは違います!!

リンさんがあらすじを忘れる訳がありません!」


「アノンちゃん。こんなテンションであらすじなんてできないよ……」


「まだです!私達のあらすじはこれからです!!」




   *




「真犯人は……あなたね!」


CM明けに有りがちな若干ゃ時間が巻き戻り同じセリフが重複する演出方法と共に名探偵(自称)の冴え渡った推理(と本人は思っている)が披露される。


「えっ?何の話?」


話も聞かず机に顔を伏せていたため状況が読めていないリン。

突き出された人差し指によって頬をグリグリとされ続けている。


「とぼけても無駄よ!

落ち込んだフリをして慰めに来たフレンズを美味しくいただく、そういう魂胆なのは丸わかりよ!」


「流石にそれはひどい言いがかりだよ!?

たかが推理、そう思ってない?

そう思ってるなら明日も的外れな事言ってると思うよ。

なんで迷推理って言われるか、明日まで考えてみて。そしたら何か見えてくるから」


「そうやって流行りのネタで誤魔化そうとするのが余計に怪しいわ……

こうなったらシンプルに認めさせるしかないわね」


暴力は全てを解決すると言わんばかりに強力な右フックを繰り出そうとするアミメキリン。

自身の首に巻かれているマフラーに手を伸ばす――が、ここで重要な事に気が付いた。


「無い……!?いつの間に!?」


「やっと気付いたの?

私が柄にもなく落ち込んでるのに違和感を覚えたところまでは褒めてあげる。

でも、勝手にポーチを漁るのは無謀だったね。

こういう状況を表すのにピッタリな言葉があるって知ってる?

“ 深淵を覗く時、深淵を覗いているのだ ” ってね!」



\エ ン プ レ ス グ リ ー ヴ /

炎妃龍の青き炎を封じ込めた脚用装備。

その内には炎妃龍の青き炎が封じられている。

> R A R E 7 <


それっぽい言い回しではあるが同じ意味の同義語が二重に重なってしまっている。

こういう場合は急いで正しく訂正するのが急務である。……そうしないと危険が危ないので!


「マフラーのないキリンなんてただの迷推理を連発する残念な美少女。

こうなっちゃったら力づくでなんとかしようなんて無理だよ」


「くっ、知らない間に勝手に盗るなんて卑怯だわ……!」


典型的なブーメラン発言である。


「早く返しなさい!!

大事にしてた羽がどうなっても良いの?」


卑怯なのはどちらなのか分からなくなる発言脅迫

漫画や小説の探偵は大抵が違法捜査をしているのでこの程度なら許容範囲と言えるだろう。


「あ、それは困るから返して。

マフラー返すからさ」


「やけに素直ね。やっぱりそれ、返さなくてもいいわ。

今回の事件の真相は異世界から来たっていうヒトのオスにフられて落ち込んでただけ、そうでしょう?

推理で犯人を追い詰めて死なせたら探偵失格だって先生の漫画にも書いてあったわ」


「まだフられてはないからね!?

最後までさん付けだったのはちょっとアレだけど、そこまで落ち込んでないから……大丈夫。

正直、お姉ちゃん呼びとかされてみたかったけど流石にそれは無理だって分かってるから……うん」


再び乙女モードに入ったリン。

貰ったばかりのマフラーで顔を覆い、アミメ成分を補充しているあたり残念な乙女である。


「あ、良く考えたら私のことをお姉ちゃんって呼んでくれそうな子に来てもらえばいいじゃん。

よし、すぐに異世界から召喚する儀式の準備にかかるよ!」


マフラーをキメて突拍子もない発言をする彼女はどこまでも残念な子であった。

事件は会議室で起きてるんじゃない、そこら中で起きるんだ!


そうこう言っている間に山積みにした特製じゃぱりまんの周りをマフラーで囲み簡易な召喚陣を完成させていた。

手にいれたばかりのマフラーを即座に悪用していくスタイル!

あるものは全て使えー!! の精神である。


「じゃぱりまん(激辛麻婆味)とマフラーでオーバーレイネットワークを構築!

漆黒のとばり降りし時、冷たい世界の全てが天空へ駆け上がる光の速さにてドッキング!

揺れろ、魂のアローヘッド――GRガチャレンジ召喚!!」



混沌カオス極まりない口上と共に異世界と繋がる扉が開かれる。

ちょっとコンビニ行って来るぐらいの感覚である。

簡単に異世界と繋がってしまう世界観、次に奇妙な世界の扉を開けてしまうのはあなたかもしれません――


テレレテテテーテー♪


特徴的な不協和音が聞こえて来たが偶然オイナリサマB G M担当がハーモニカを吹きながら通りすがっただけである。良くある、良くある。



「一体何が起こってるの!?

いえ、ここは一旦落ち着くのよ……名探偵は慌てないッ!」



手にヤギと書いてそれを数えるアミメキリン。

古くから伝わる伝統的な落ち着き方である。


「この局面でも落ち着いてられるなんて流石だね。

でもこの勝負は2目半差で私の勝ちだよ!」



【速報】謎の茶番劇、勝負だった



「そんな……せめてWi-Fiが使えてれば、あと2コンボは出来てたのに……っ!」


「良い勝負だったよ。

ただ、ツノは5本あっても受信する電波が1本じゃこんなもんだよね」


申し訳程度の動物要素。無いよりはマシと信じたい。


「さーて、召喚の方は上手く行ってるよね?

確認しておかないと」


思い付きで行われた儀式の成果を確認すると、そこにはまばゆい光に包まれ、この世界へと呼び出された者の姿があった。


「よし、虹演出!まさに完璧!

それにあの子は見覚えがあるね……

そう、確か名前は――」




名前を入力してください▼


 ▽_ _ _ _ _ _




ここでは入力にかかる時間と少女の服装を考慮し つなぎちゃん と入力します(RTA感)




「――つなぎちゃん。

いや~、まさかこんな形で再会するとは思わなかったよ」


「忘れたらだめ!

年に1度の定期点検はとっても大切、なのです!」



要するに一周年記念のゲスト枠である!(つなぎちゃん違い)


いつもながらの超展開にアミメキリン達も「え?誰?知り合いなの?」と、困惑気味であった――






なお、ギリギリで一周年記念日に投稿が間に合わなかった事にツッコんではいけない。いいね?

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