第84話 自由な少女と幻想獣④(?)

おいーっす!私、八雲やくも リン ……なんてね。

もちろん嘘なんだけど、いずれそうなると良いなぁ……えへへ///




   *




ある晴れた日――


「事件の匂いがするわ!

犯人は……貴女ね、ウソ!!」


「だからサギですって何度言えば分かるんですか!?」


「落ち着け、アノン。キミは小夜啼鳥サヨナキドリだろう!?」


具体的な事件を確認した訳でもなく犯人を断定するアミメキリンと普段から鷺呼ばわりされすぎて錯乱しているアノン、その二人の間にツッコミに入るタイリクオオカミの姿があった。

開幕から情報過多であるが要するに普段通りの日常回である。\ 平常運転 ジャパリパーク♪ /

余談だがこの漢字四字+ジャパリパークの組み合わせは非常に語呂が良いので是非声に出してみて流行らせていって欲しい。


\ 閑話休題 ジャパリパーク♪ /


「アピールの仕方が良くなかったかなぁ……ハァ……」


ため息を漏らしながらテーブルに突っ伏すリン。

普段からは考えられないテンションの低さは事件性を疑われても仕方がない。

そんな様子を見たアミメキリンが現場検証を始めていた。


「この辺りが怪しいわね」


ガサゴソとリンのポーチを漁る。

この間も異様なまでにテンションの低いリンは完全に無反応である。

ポーチの中にはヤタガラスの羽根のようなものが大事にしまわれていた。


痕跡:ヤタガラスの羽 (+20調査Pポイント)


なお、唐突に採用された調査Pというシステムは今回限りのものなので深く考えず一緒に推理して貰いたい。……サブタイトルでもう予想はついてるって?あなた、野暮ね!


「鳥の羽っ……!?やっぱり貴女が犯人ね!」


ビシッという効果音すら聞こえてきそうな勢いでアノンを指さすアミメキリン。

現場に羽が落ちていた訳ではないので犯人が鳥のフレンズとは限らない。安定と信頼の冤罪である。


「ちーがーいーまーすー!!

だいたい私以外にも鳥のフレンズは居るじゃないですか」


「そうですよ。

確かアノンさんはリンさんが来るまで客室“みっしつ”にいらっしゃったはずなので無関係ですね」


フォローに入ったアリツカゲラ。

彼女はこのロッジの管理者であり、鳥のフレンズでもある。


「だったら他の鳥のフレンズに聞き込み調査ね。

探偵は足で証拠を稼ぐのが基本よ!」


残念ながら一般的に足で証拠を稼ぐといえば刑事である。

今更そんな些細な事にツッコミを入れる者は居らず、アノンが予定していたお菓

子作りパーティーに集まって来ている鳥のフレンズ達への聞き込みが行われはじめた。


※改行のタイミングに違和感を覚えた読者の皆様は心が汚れているため、問答無用で有罪とさせて頂きます。


「今日はおいしいお菓子を食べに来ました。

だから事件とは無関係です。はやくパフィンちゃんにお菓子くださーい!」


ポテトチップスを作る前に迷推理が始まったため、とにかくお菓子を食べたがっている鳥のフレンズ。

わざとそういう演技をしているようには見えない。


「あいつじゃがいもを切るのが怖いだけなんですよ。

違うんだったら薄く切ってみろー」


何故か挑発的な鳥のフレンズ。

めちゃくちゃ良い性格してると思う。


「ただのお菓子パーティーではないぞ」

「カロリーをも消費する本物のお菓子パーティーだ」


普段は風か何かを食べてそうな鳥のフレンズ。

パーティーに参加しようとした経緯からして謎だらけである。


一通りの聞き込みを終えて誰もが空振りだと思ったが、アミメキリンだけは違った。


「――繋がったわ、脳細胞がファーストギアよ!」


それを言うならトップギアである。

もっとも、推理に関して加速力だけが飛び抜けている彼女にとってはファーストギアで正しいのかも知れない。


「真犯人は……あなたね!」



そろそろ信憑性が怪しくなってきた決め台詞と共に犯人を指さしたところで次回へ続く――


ついでに結局今回はサブタイトル詐欺だ、やったぜ!(やってない)

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