第79話 LBの楽園

~前々々回のあらすじ~

頼み事をするためにオイナリサマの前へと現れたリン。

何やら遠くない未来にパークの危機が訪れる事を察知した様子。

彼女が予測したパークの危機とその対処法とは一体――!?(←解決済み)



   *



「ねぇねぇ、かばんちゃん!

図書館の地下室って他に何が置いてあったのかな?」


「そういえば緑色のラッキーさん以外は良く見てなかったような……

見に行こう?サーバルちゃん」


図書館地下へと向かう二人。

重く冷たい金属の扉を開くと辺りを見渡した。


「これは……ラッキーさん?」


電源の入っていないラッキービーストが埃を被った状態で並んでいる。


「前に来た時は急いでて気付かなかったけどボスがいっぱいいるね。

なんだか見た目も違うけどボスにも種類があるんだね」


その言葉通り此処には多種類のラッキービーストが遺されている。

今、サーバルが興味深く見つめているのはラッキービーストⅢ型である。

ピンクのボディと白い羽が特徴で性能面でも通常のラッキービーストを上回る。

SSサンドスタープリンターを使用する際に制御を担当してくれるラッキービーストがこのタイプだった場合、まさにラッキー!だが、おしゃれなティーセットを4連続で作成してしまったという例も確認されているので油断ならない。


「ラッキーさん、この部屋のラッキーさんの仲間達について教えてくれませんか?」


左腕につけたラッキービーストに話しかける。


「マカセテ。

ココニ アルノハ 旧型ヤ 少数ダケ 生産サレタ タイプノ ラッキービースト ダヨ。

殆ドハ 運用スルノガ 難シイ 性能ダカラ 放置サレテイルヨ」


「そうなんですね。なんか寂しいです。

どうにかして動かせたりしませんか?

これなんか綺麗なままですし」


近くにあった他より一回り大きなラッキービーストを撫でる。

古いことは古いが目立った傷などはなく、新品同様の活躍が期待できた。


「ソレハ LBー二式 ダネ。

大型バッテリー ヲ 搭載シタ結果、重サデ消費電力 モ増エタカラ 稼働時間モ伸ビナカッタンダ」


「でしたら、あまり動かなくても良い役割をお願いするのはどうでしょうか?」


「イイ アイデア ダネ。ソノ方向デ調整スルヨ。

調整中……。調整中……。

調整完了。ソコニ アル LB-Rカスタム ト セット デ パーク ノ 監視役トシテ運用スルヨ」


LB-Rカスタムとはカメラ機能に特化したラッキービーストである。

かつてパークの広報担当者が高画質な動画を撮るために独自に開発したものであり、ズーム機能は当時の技術の限界を超えている程である。

また、iso感度3000倍というどんな状況で活用するのか分からないまでの最大スペックを誇るが、コストの関係で通常のラッキーを至るところに配備した方が効率が良いと結論付けられ正式採用には至らなかったと言われている。




この後、ラッキービーストⅡ型、LBマーク2、LB-2nd edition など明らかに名称だけ変えたと思われるタイプが多数発見されたが、外装を少し改造し様々な地方に配備する事にし、各地のフレンズから ご当地ボスとして好評を博した――

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