第56話 ある日森の中

~前回のあらすじ~

・初手から悪手

・そんな読者は多分2、3人しか居ない

・モブです よろしくおねがいします





    *





「うわぁぁーん!なんでっ……なんで、こんな事にぃ……」



状況は単純にピンチだった。

全力で飛んで逃げるアノンを取り囲もうと追いかけるセルリアンの群れ。

アルパカ達が目を覚ましてすぐカフェを出たのが良くなかった。

好意に甘えて一泊だけでもしていれば……と、後悔しても後の祭り。


祭りといえば、ジャパリまつりは今日も開催中!遊びに来たたくさんのフレンズと一緒にぼうけんに旅立とう!


極めて自然な流れで宣伝したが、今はそれどころではない。

むしろセルリアンを引っ張りハンティングしなければならない。



「こうなったら……!!」



目の前に迫っていた木を蹴り、体勢を反転させる。

幹に傷が入り、葉が落ちるが気にしては居られない。

勇気を振り絞り全力でセルリアンに攻撃を仕掛ける。


――野生解放。


目に燃えるような激しい光が宿る。

その姿は、普段のオドオドした様子とは似ても似つかない。

自然界を生き延びる小さな鳥とは意外とも言える攻撃性を秘めているものだ。


が、攻撃性と強さは――ペチッ――無関係である。


セルリアンにダメージを与えることができなかった。

無駄に自然を破壊しただけである。環境破壊は気持ちイイZOY!


この場を切り抜けるには次の一手を考えなければならない。


アノンはどうする?

 たたかう

 どうぐ

→にげる


しかし、まわりこまれてしまった!


セルリアンは確実に包囲を狭めてくる。

羽付きのセルリアンが3体と蜘蛛型のセルリアンが2体。

集めた訳でもないのに、完全にフルハウス!


詰め寄ってくるセルリアンを見渡しつつ牽制していると違和感を覚える。

あまりにも静か過ぎるのだ。

日中が最も活発なはずのセルリアンが夜分に集団行動するのは多少珍しい程度だろう。

しかし、フレンズが多いはずのジャングルで夜行性のフレンズを見かけるどころか気配すら感じられないのは通常考えられない。

それもそのはず、現在この一帯はハンター達の避難誘導に従って誰も寄り付こうとしないようになっている。

間の悪い事にセルリアン出没エリアに入ってしまったアノンは孤立してしまった形だ。


さて、単独でなんとかすることを余儀なくされた訳ではあるが、ここでサブタイトルを思い出して欲しい。

そう、ハンターのヒグマが助けに来る回なのである。

助けが来るまでしばらくかかるのだが、その間ずっと逃げ回っているアノンを描写するのも地味なので適当に盛り上げておくとしよう。




――ここからが たんたかタイムだよー!


たんたか!たんたか!たんたんたん!

たんたか!たんたか!たんたんたん!

たんたか!たんたか!たんたんたん!






……そんなこんなしているうちにヒグマが助けに入り、セルリアンは瞬殺された。


回避、加速、奇跡!の流れで耐え続ける主人公、アノンの活躍が見たかったそこのキミ。

ディレクターズ・カットverを読もう!(存在しない)



次回、セルリアンハンターGT

果たして真面目な展開になるのか――

乞うご期待!!

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