第54話 決断
~前回のあらすじ~
矛盾の塊料理に加え、呪文デザートまで生み出してしまったアノン。
料理人としての素質は皆無だと判明してしまったが、果たしてどんな職業に就くのだろうか――ヤギね!(ヤギは職業)(キリン特有の早起き)(多用される迷推理ネタ)(冤罪)(マフラーで差をつけろ)
*
破壊力の高い料理を完成させてしまったアノンに言い渡されたのは意外にも“合格”の二文字。
料理が合格ということではなく、自分達の教えを受ける資格があるという意味合いである。
断じて、後ろで圧力をかけている保護者に対する忖度ではない。
「さて、お前達はどうするつもりなのですか?
しばらく別れた方がアノンの為になるでしょう。
特にかばん、お前は甘やかしすぎなのです」
「確かに自己満足で甘やかしている節が見られますね。
それでは却って成長を妨げるのです」
「それは、確かにそうかも知れませんが……」
精神的に不安定だった時期に出会った事もあり、依存気味になっていた事を指摘され口籠る。
事実、アノン1人でもどうにかなる場合でも無意識に手出ししてしまう程に過保護であった。
「わ、私なら大丈夫ですっ!
今は心配かも知れませんが、いつまでも甘える訳にはっ……」
誰の目にも明らかな強がり。
かばんは、かつてサバンナ地方を出る際に一時的とはいえサーバルと別れた時の不安を思い出した。
「かばんちゃん、アノンちゃんがこんなに頑張ってるんだから応援してあげなきゃダメだよ」
サーバルの後押しもあり、彼女達はそれぞれの道を進む事を選んだ。
とはいっても、かばんとサーバルが一緒にサバンナ地方で滞在するだけなので少々大袈裟かもしれないが。
「そうと決まれば知識を身につけるのです。
知識や成功経験があれば自信も出てくるものなのです」
準備は出来ていたと謂わんばかりに本を取り出す助手。
博士はその光景を満足そうに見守っていた。
巣立ちの時は、そう遠くない――
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