第48話 ネーミングライツ

「コレハ、刷リ込ミ ダネ。鳥類ノ子育テハ比較的長ク、親ニ教エテモラウ事モ多イカラ、最初ニ見タ物ヲ親ト認識スルンダヨ」


ラッキービーストによる解説が入る。

これにより状況が多少は理解可能になったが、目の前の少女がどのような鳥からフレンズとなったかまでは分からなかった。


「ん?それ、良く見せてもらって良いですか?」


少女の右足に嵌められた足環に文字が刻まれていることに気が付いた。


[ 2##8/6/#4 アノン #p ]


「これは……所々掠れて読めませんが、アノン と書いてありますね。

もしかすると名前でしょうか?」


「ソノ可能性ハ高イネ。

種トシテノ性質ヨリ、個体トシテノ性質ガ強ク反映サレタ フレンズ ダト推測デキルヨ」


ラッキービーストによると、足環の記載に標準規格は無いが、管理番号が振られるのが一般的とのこと。

つまりこの少女は、個人に飼われていた鳥のフレンズである可能性が高い。


「あの、私はこれからどうすればいいんでしょうか……?」


「何のフレンズか調べて、出来る事とやりたい事を見つけていけば良いと思いますよ。

それが何か見つかるまで、ぼく達と一緒に来ませんか?」


不安そうに見つめてくる少女に手を差しのべる かばん。

少女は差し出された手を握ると同時に小さく頷いた。


「まずは何のフレンズか聞きに行こうよ。

いいよね、アノンちゃん?」


「はい、よろしくお願いします」


嬉しそうに答える笑顔は既に親というよりも共に旅する仲間に向けるものであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る