[第2章]かばんちゃん、1児の母になる!?

第47話 スタート直後を狙うのは卑怯

火山。

それは、この世界において新たな生命フレンズをもたらす場所。

生命いのちの始まる場所――



火山から噴き出すサンドスターによってフレンズが生まれる。

その多くの例は、年に1回程の噴火と共に見られる。

しかし、例外的に空気中のサンドスターからフレンズが誕生するケースも確認されている。

このケースの場合、その性質から必然的に火山の山頂付近で誕生する事になる。

そして今、ほとんどフレンズの寄り付かない場所で生まれた少女はセルリアンの脅威に晒されていた。



「うぅ……誰か助けてぇ……」


小型セルリアン2体にすら追われるだけの臆病な少女は、右も左も分からぬまま岩陰に身を隠し、来るかどうかも分からない助けを求めるのが精一杯だった。




「あれ?今何か聞こえなかった?」


祈りが通じたのか、震えるような声が届いた。


「ぼくは何も……でも、サーバルちゃんが聞こえたなら何かあるのかも」


声が聞こえた方を目指す2人。

すぐにキョロキョロと何かを探している様子の2体のセルリアンを発見する。


「サーバルちゃん!」


「うん!」


最小限の言葉を交わし、それぞれ別のセルリアンを黒曜石のナイフと自慢の爪で撃破する。

戦闘は難なく終わり、2人で周囲を探す。


「もしかしたら、あの岩の裏に居るかも」


小柄なフレンズがギリギリ隠れられそうな岩に気付いた かばん。

そこには予想通り、1人のフレンズが居た。


「ピギィ!! た、食べないでください……!」


「大丈夫です!食べません!」


身を小さく丸め怯える少女フレンズ

羽があることから鳥のフレンズであることが窺える。

少女は、優しく声を掛ける かばんに対しての警戒を緩め、目を見開き、じっと見つめている。

そして、しばらく後に衝撃的な言葉を発する――


「お母さん……?」


あまりの驚きに、一瞬だけ言葉を失ったが、遅れて「えぇー!?」という叫び声が、静かな火山に木霊した。

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