第46話 インド人を右に!

どうもー!元主人公のリンでーす!

残念ながら外伝も今回で終わりなんだけど、なんか普通に第2章が始まるみたいなんだよね。

主人公も変わるらしいから、その子のこと可愛がってあげてねー?




   *




「確かに、私には暑さに耐えるより寒さに耐える方が向いているみたいだな」


雪山にある温泉宿で、敢えて水風呂に浸かるコウテイ。

普段からそのまま水に入るのに馴れているのか、服は脱いでいない。……残念ながら。


「ぼく達は先にあがってますが、限界に挑戦するのもほどほどにしてくださいね?」


かばんとサーバルはコウテイに付き合って長湯をしていたが、流石にのぼせそうになったため、先に温泉を出ることにした。




   *




「むぅー……勝てないー」


温泉からあがった先で見かけたのはゲーム中のキタキツネ。

どうやらレースゲームで記録に挑戦しているらしい。

画面を覗き込むと映っていたのは[ RIN 0:05 ]の文字。

過去にリンが残した最高記録である。

ちなみに今回の記録は、というと――

[ KITA 3:34 ]

……まるで勝負になっていない。


「これは普通の方法では厳しいかもしれませんね」


当然、何か裏技があるのでは、と思い至る。

しばらくゲームを続けるキタキツネを見ながら記録更新の方法を考えていた時、サーバルの何気ない一言が活路を見い出した。


「ここの壁をジャンプできたらすぐゴールなのになぁー」


「もしかして……?

キタキツネさん、そこの壁に上手くぶつかったら乗り越えられたりしませんか?」


ぶつかる時の速度や角度などを微調整し、何度か試したところで壁を越えるショートカットに成功する。


「……これで新記録も狙えますね!」


一見笑顔に見えて曇った表情。


「かばんちゃん、どうかしたの?」


不自然な様子に気付いたサーバルとそれに続いて顔を覗き込むキタキツネ。


「リンちゃんが残した記録が無くなるのは少し寂しいな……って思って……

でも、それだけですからキタキツネさんは気にしないでください」


「やり方が分かったからもういいや、まんぞく」


「ふふっ、スナネコさんの真似ですか?

結構似てましたよ」



空気を読んだキタキツネのおかげですぐに記録を破られることはなかったが、数日後、最高記録が[ GIN 0:04 ]になっているのと、水風呂で冷たくなったコウテイが発見されることになる――

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