第31話 コウテイの無謀な挑戦

――暑い。

ただそれだけ。


普段なら、「燦々と照らす太陽。肌を焼く熱と渇き切った風に耐えきれぬ生命を拒絶する、一面の砂世界」とかなんとか説明すると思うけど、そんな気にならない時もあるよね。


ここは ‘さばくちほー’ 。

ジャパリパークの中でも結構過酷な環境で、暑いのが得意なフレンズ以外は、来たがらない。



「はぁ、これは……ちょっと無謀な旅だったかな……」



、ね。



「こんなに水がないところに、ペンギンが来るのは――」



流石に見てられない。

慌ててバスから飛び出て、今にも倒れそうなコウテイを救出する。


「ダメだよ、コウテイ。せめて日中は影で体力を温存しないとね」


バスの中で寝かせ、首筋と太腿に氷を当てる。


「んっ……/// あっ……/// (冷たくて)気持ち良いっ……///」


意識が朦朧としてるのか、危なげな発言をするコウテイの頬をペチペチと叩いてみる。


「コウテイさん、大丈夫でしょうか?

リンちゃん、得意のサンドスターでなんとかしてくれませんか?」


「水分と塩分を補給すれば、体調の方は、大丈夫だと思うよ」


流石に生き方については、どうしようもないけど。

あと、サンドスターは万能だけど全能ではないからね?

MURYYYYムリイィィィ



――――数分後。

コウテイの意識も回復してきたところで、塩味のじゃぱりまんと水を摂らせた。


「ありがとう、助かったよ。

ところでまだ少し意識がハッキリしないんだが、もう少し、頬を叩いてもらえないだろうか?」


どうやら冷却が足りない様子だ。

氷が勿体なかったので、代わりに冷やかな視線を送りつつ、頬をペチペチ叩いておいた。




「それにしてもビックリしたよー。

こんなところでコウテイに会うなんて思わなかったよ」


今更ながら的確な事を言うサーバルちゃん。

ツッコミどころが多すぎたよね。


「どこまで地面が続いてるのか、この足で歩いてみたかったんだ。

それで、砂漠の横断に挑戦してみたくなってさ。

最初はジェーンも誘ったが断られてしまって……」


「流石に歩いては無謀ですよ。

ぼく達と一緒にバスで行きませんか?」


「やはり無謀か……

いつ出発する?私も同行する」


コウテ院!




暑さで若干テンションがおかしくなりつつも、コウテイと一緒に砂漠を旅する事になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る