第43話 ハッピーエンドは基本
あれから数日、ぼく達は図書館で過ごしていました。
「何か……方法は……?」
そう呟いてみたものの、リンちゃんを生き返らせる方法が見つかると思っていた訳ではありませんでした。
リンちゃんが居ない状況に、苦言を呈さずには居られなかったのかもしれません。
「こういう事なら、何もしない方が良いかもしれないけど……」
文字を見つめるのを止め、開いていた本を閉じた。
「諦めるには早すぎるみたいだから、挑戦してみよう......かな?」
地下室に隠されていた古くて難解な印象のある本の内容を思い起こした。
“ 救世主として必要な全てを持って生まれた少女は、幾度となく世界を救い、然る後に散っていった ”
「ぼく達が知らなかっただけで何度も同じ事をしてたんですね。
せめて皆に知ってもらえる様に、学校を作って、それから――」
「何を言っているのですか……
それは我々の役割なのです」
「教える事が多少増えるだけなのです」
「ですから、ぼくも一緒に――」
「そんなことは ‘ヒト’ について外の世界で見て来てからでも遅くないのです。
さっさと行って来るのです」
「いつまでも暗いままで居られるとこっちまで責任を感じるのです」
「「我々は長なので」」
こうして有無を言わさず図書館を追い出される事になりました。
これは、2人なりの気遣いだったのでしょう。
ぼくとサーバルちゃんは、また旅に出る事にしました。
前向きに、自由に生きられるようになるために。
広い世界の中であなたに出会えたことは、きっと忘れません。……これからも、ずっと。
待っててください、リンちゃん。
いつかきっと、サーバルちゃんと一緒に会いに行きますから。
不可能の壁から、飛び出して――
『みんな自由に生きている』 ~完~
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