第40話 へいおん!

「こんな時間が、ずっと続くと良いな……」


自然と言葉が漏れる。

思わず苦笑してしまう。

、と。

いつからだろうか、それが似合わなくなったのは。

いつからだろうか、皆が頼りにしてくれるようになったのは――

これはきっと、願ってもない平穏な一時だった。




   *




「何か釣れましたか?」


橋に腰を下ろし、川に釣糸を垂らす私。

先ほどまでジャガーのイカダに乗っていた かばんちゃんが隣に座る。


「見ての通り散々だよ。

じゃぱりまんを餌にしたらフルルでも釣れないかな?なんてね」


今のところ釣り上げたのは、スチール製の空き缶が1つ。

要するに釣果0ということだ。


「これって何かに使えませんか?

こうして、ほら、楽器を作ってみるのはどうでしょう」


缶の底を木の枝で叩くと高い音が出る。

だったら私も、と細長い葉の草を抜き、何度か折る。

折った草を吹くと、ピュー!っと趣のある音色が響く。


「何それ、たのしそー!」


「どういう仕組みで鳴ってるんだ?全然わからん」


コツメカワウソとジャガーも興味を持ってやって来た。

せっかくなので、長さの違う木の板を並べて簡易な木琴も作ってみた。

これもどうやら悪くない出来だったので、演奏してみることになった。



即興で歌う かばんちゃん。

ジャパリパークは良い場所WonderZoneだという内容を即興と思えない完成度で歌い上げる。


私もその場のノリWonderFeelingで合いの手を入れる。


サーバルちゃんは缶をリズミカルに叩いている。

自慢の耳で良く聞こえているのか、タイミングもバッチリだ。


コツメカワウソは器用に木琴を打っている。

最初から上手かった上に、演奏中にますます上達しているのが分かる。




そして、ジャガー。


\ジャーン!ギュイーン!!/


草笛でギターの様な音を出している。

――なんで!? 全然わからん......




結局、ジャガーの謎技術は良く分からないままだったが、今回の音楽会は盛り上がり的に大成功だったとだけ述べておくとしよう。

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