第41話 さばんなちほー

ジャングルを越えてゲートを抜けると、そこはもう、サバンナだった。

見渡す限りがサバンナ。誰がどう見てもサバンナ。圧倒的サバンナ。

つまり、そういうこと。

もはや、何の説明にもなってないけど気にしないいつものこと

かばんちゃんとサーバルちゃんが出会ったのも ‘さばんなちほー’ だったらしいけど、その話は有名だから省いても問題ないよね。

そんなことより大事な事が1つ。そう、水分補給ね。

ジャングルと比べたら乾燥してて、嫌な暑さではないけど日中にはかわりないからね。

40℃近い日が続いた後に30℃とかだと、涼しい なんて思っちゃうけど注意しないとダメだよ。


そんなこんなで閑話休題、水場に到着。


「あら、貴女達。帰って来てたのですね。

その子は、新しいお友達ですの?」


水浴び中のカバが私達に気づき、声をかけてきた。


「島の外に行こうとしたけど、バスの調子が良くなかったから帰って来たんだ。

この子はリンちゃん!

バスを直してくれたのもリンちゃんなんだよ」


「あら、見かけによらず凄い子ですわね。

バスを直せるのでしたら貴女も‘ヒト’ なのでして?」


「惜しいけど違うんだよね。

なんて説明すれば良いか私にも分からないから、細かい事は気にしない気にしない」


当然ながらカバの予想はハズレ。

そもそも ‘創作物という概念がフレンズ化した’ なんて、誰も予想出来ないだろうね。




「さて、そろそろ行こっか!」


「ちゃんと水は飲みましたの?

もっと暑いところから来たのなら尚更注意するのですよ?」


あ、そんな感じの事ならさっき言っておいたから大丈夫。


「他のフレンズに会ったらちゃんと挨拶しなさいね?

それから――」



この後、かなり遠ざかるまでカバの助言は聞こえ続けた。




   *




「いやー、随分はしゃいだねー」


水場を去ってから、サーバルちゃんのなわばりだった辺りに行って木登りをしたり、紙飛行機を飛ばしたりした。

周囲は暗くなりつつある。

普段なら寝る準備ぐらいは始めている時間だ。



「あの、少し気になってたんですが、セルリアンが現れたりしないでしょうか?

水場は普段、場所取りになるくらいフレンズが集まると聞きましたが今日もカバさん以外居なかったので……」


「セルリアン来ないよ。私が保証する」


大丈夫。もっと大変なものが現れたとしても、かばんちゃんが心配する事じゃないよ。









夜の帳が下りきった頃、私は行動を起こした。

闇に紛れ、1人で遠くへ歩いて行った。


――ボス、2人には心配いらないって伝えてあげてね?

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