第28話 【RTA】世界最速の木造建築
蒼い空に白い雲。
透き通った水、緑に生い茂った木々は、豊かな自然を感じさせる静かな湖畔。
「たかが石ころ、押し返してやるであります!」
「これ以上はヤバいッス!!逃げるッス!!」
ドッボーン
――訂正。少々騒がしい、湖畔。
*
状況を整理しよう。
湖に落ちたアメリカビーバーとオグロプレーリードッグを助けて事情を聞いたところ、急に岩が転がって来て家が壊されそうだったとのこと。
なんでも最近、謎の振動が多発しているらしい。
震源は、おそらく図書館の方向のようだ。
何が原因なんだろうね?
わかんないや!これは図書館に行ってみないと分からないかも……
まあ、原因の究明は後回しにするとして、今後同じ事があっても大丈夫な様に家の補強を手伝ってあげるとしよう。
……え?プレーリーとの挨拶はどうだったかって?
かばんちゃんがちょっと不機嫌そうだったから、かばんちゃんとの挨拶の方が長くなっちゃった。
そしたら機嫌も良くなったみたい。
――挨拶は大事、古事記(?)にもそう書かれてるとかなんとか。
*
「この木材を家の近くまで運んで欲しいッス」
「そうでしたら、少しでも多くバスに乗せて運びたいですね。
そのためには全員がバスに乗るのは得策ではない、と。
リンちゃん、木材を持って歩いて行けませんか?」
突然ですが、バスから降りる事になりました。
ざっくりカバンちゃんさん方面からのお達しみたいです。
すみません、私もとても残念です。
「いいよ。バスで運ぶより早いって事、見せてあげる。
……すぐバテちゃうけどね」
定期的な
こうして半ばヤケ気味に、最速の運搬術が披露される――
丸太を抱え後ろ向きに跳び跳ねる。
道中、段差を利用し、更に加速。
バスより遥かに早く、家の近くまで着くと、丸太を持ったまま、クルリとバク宙。
丸太が垂直になったと同時に手を離し、慣性に任せる。
こうする事により、反動で、次の木材を取りに行くのが大幅に早くなる。
丸太も丁度良い感じの位置に倒れるよう調整されている。
結果、バスが到着するまでに3往復する事が可能。
多分、これが一番早いと思います。
なお、家の補強は目を離した隙に終わっていた。
え、――早過ぎない?
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