第26話 猫耳ガチ勢

よかれと思ってやった行動が、良からぬ事態を引き起こすことがある。

これは、猫耳に拘りのある、二人の少女が巻き起こした戦いの記録である――




   *



「ですから!リンには、ピンッと立った猫耳の方が似合うんですよ!」


私の事を、ちゃん付けで呼ぶようになったかばんちゃんが語気をあららげる。


「そうかな?私としては、ペタって倒れてる方が好みなんだけど……

こう、大人しい感じが良くない?」


「どうしても分かってくれないみたいですね……

こうなったら仕方ありません。

実際に間近で体験して白黒つけましょう!」




   *



そんなこんなで始まったのがサッカー対決。

ライオン軍にサーバルちゃんを加えたチームとヘラジカ軍に私を加えたチームで勝負する事に。

バランスおかしくない?

戦力的にもそうだし、こっちのチーム猫耳いないんだけど?

あ、私って狩猟豹チーターなんだっけ?



――案の定、試合は前半を終えて30対2。

ヘラジカとライオンの一騎討ちが良くある展開だけどライオンの方が一枚上手って感じかな?

後半は、その辺りフォローしてあげないと。



そして、後半。

前半より良くはなったけど点を取るのが厳しい。

結局、後半も点差は詰まらず、3対2で試合終了。


合計で考えたらボロ負けだね。

みんな楽しそうだからそれで良いけど……

そもそも何でサッカーの試合に出る事になったんだっけ?



   *



「ふみゃー、疲れたけど楽しかったよ」


「良い試合だったねー」


「お疲れ様です。

ところでリンちゃん、サーバルちゃんとライオンさんの お耳を間近で見て、どうでしたか?」


そういえば、そういう話だったね。


「そんな余裕なかったよ。チーム的にずっと押されてたし」


「ぼくは見てて満足でしたよ?

ですから、リンちゃんは、自分が好きな方の猫耳を付けて下さい」


なんか ‘ぶつかり合って和解した’ みたいな空気になってるけど、かばんちゃん監督しかしてないよね?



ゆるく始まった戦いは、更にゆるく幕を閉じたのだった――

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