第25話 演技派フレンズ

「そんな……うそ……ですよね?

リンさんがセルリアンだなんてそんなはずはっ……!」


かばんちゃんの悲痛な叫びが木霊する。


「なんで嘘だと思うの?

真っ先に私がセルリアンだって指摘してくるのは、かばんちゃんだと思ってたんだけどね」


「一緒に旅してきて、ずっと見てきました。

……だから、分かるんです。チーターだって言われた時と同じ顔してるって事は」


先ほどの悲痛な叫びとは何だったのか、場の空気を凍らせる爆弾発言。

もう、あの頃シリアスには戻れない――

かばんちゃん、恐るべし。


「……もちろん我々も分かっていたのです。

そうですね?助手」

「当然なのです、博士」

「「我々は賢いので」」


ダウト。

嘘だと思ってたら、そもそも来ないよね。


「そんなことだろうと思ったよ。

だいたい、リンと戦うつもりなら、キンシコウとリカオンも連れて来るべきだろうな」


これはホントっぽいね。

‘念のためにカマをかけに来た’ って感じだったし。


……良く考えたら、ここにいる全員嘘つきなのでは?

せっかく嘘つきが集まったんだから、昼食はサーバルちゃん以外、じゃぱりまんの見た目で、とんでもない味の料理を振る舞っちゃおうかな?




この後、じゃぱりまん から魚の顔が突き出した、見た目すらとんでもない料理が完成するのだが、それはまた、別の話――






   *



「良かったの?かばんちゃん。

私を庇う為にあんな演技までしちゃって」


「いいんです。

本当にリンさんがセルリアンだったとしても、それは変わりません」


「かばんちゃんのこと、食べちゃうかもしれないよ?」


「それでも、かまいません。

リンさんのこと、好きですから」


冗談として受け取ってくれても良かったのに、本気で返される。

敵わないなぁ……


「私で良いの?他のフレンズにも手を出しちゃうよ?」


「はい、そういうところもリンさんの良いところですから。

……それに、気持ちは良く分かりますから」


かばんちゃん、けもの好きだもんね。

――今度、猫耳でも着けてみようかな?

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