第24話 演技派セルリアン

平原に来たからといって、必ずしも平原に住むフレンズに会うとは限らない。

一人でいる時に限って、予想もしない相手に会ってしまう事もあるのだ。




「情報通りだな。探したぞ、リン」


「久しぶりだね、ヒグマ。

わざわざ探してたなんてやっぱり私のファン?」


「ハンターとしての仕事でな。悪いが大人しくして貰う」


武器を構えるヒグマ。


私のファン物騒過ぎだよね。

今回は、地の利がないけど、とりあえず逃げ――


「そうはいかないのです」

「逃がさないのです」

「「我々は賢いので」」


博士と助手に逃走経路を塞がれた。


「二人も実は私のファン?

ヒグマの言う通りセルリアンの情報を聞き付けたとしても、私のところに来る理由にはならないよね?」


「それがなるのです」

「証拠は揃っているのです」

「「リン、お前がフレンズ型のセルリアンなのです」」



……この二人、迷探偵名誉アミメキリン 認定しても良いよね?


「一応、その証拠が何かを教えてくれるかな?」


「全く、仕方ないのです。特別に教えてやるのです」

「証拠は全部で五つあるのです。

まず一つ、普通のフレンズなら何の動物かを隠したりしないのです」

「そして、二つ、バスの修理というセルリアンの特徴である“保存と再現”を意図も容易く行ったのです」

「三つ、あまりに多すぎる知識、動物的特徴……これはフレンズから輝きを奪ったとすれば説明がつくのです」

「四つ、セルリアンの石をわざわざ丁寧に集めている事なのです」


「最後に、指輪についている宝石がお前のいし……なんだろ?」


目の前にいるのは、紛れもなく本気ハンターのヒグマ。


「リンと名付けたフレンズが、まさかセルだったとは、考えたくもなかったのです」


確実に包囲を狭める長達。


「ここまで証拠が揃ってるんだったら、言い逃れしても仕方ない、かなぁ……」



諦めて臨戦態勢に入った時、そこへ現れたのは――


「そんな……うそ……ですよね?

リンさんがセルリアンだなんてそんなはずはっ……!」


信じたくない、と言わんばかりの表情をした、一緒に旅をしてきたフレンズの――

かばんちゃんだった。

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