23日目:罰・参画・刺客

うっかりミスが続く時期ってあるよね。

この前はロッジで変な部屋選んじゃったし、今は昼食のじゃぱりまんを用意し忘れて現地調達する羽目になっちゃった。

そのまま ‘へいげん’ を目指すのはちょっと遠いし、仕方ないね。

まぁ、多分すぐ近くに、配ってくれてるラッキービーストが――居たね。


あっさりと問題が解決したのを良いことに、一人で先に齧りつく。

気分がノッてきて歌いたくなってきた。


食べよう♪ 味わおう♪ 希望のフレーバー

繋いだ絆が 今僕らの胸のなかにあるから

決して散ることはない 生きる力


「うわぁ......まっず......」


何これ?曲調変わっちゃうぐらい不味いんだけど。


【じゃぱりまん ~ ドッグフード味 ~】


「……」


なるほど、不味い訳だ。

犬科のフレンズ向けに作られてるのかな?

それとも食べれたら何でもいいの?


「せやで」


なんか聞こえた。

というか普通に心読まれた。


振り返ると、そこには一人の少女アニマルガールが居た。


「ウチは柴犬のマルや。

それじゃぱりまん 食べへんのやったら、くれへんか?」


「いいよ。まだあるから好きなだけ持って行って。

あ、私はリン。一部界隈では狩猟豹チーターって呼ばれてる」


よだれで地面溶けてるんだけど……

絶対ヤバいやつだよ、これ。


「そういや食べかけだけど大丈夫?」


「そんなん気にせんわ。火耐性15やし」


柴犬(カマキリ装備ネセト一式)かぁ……

今の流れで火耐性関係ないし、全く意味が分からないんだけど?


「満足したから帰るわ。

後これ、お礼にあげる」


持ちきれなくなっていたじゃぱりまん3個を押し付けられた。

そして、普通に空間を引き裂いて別世界に帰って行った。

うん、至って普通だ(感覚麻痺)




   *



「何か収穫はありましたか?」


「じゃぱりまん3個と、犬より猫の方が好きって再認識できた事かな」


まったく、あんな規格外な犬に会うとは思わなかったよ。


カレー味のじゃぱりまんをサーバルちゃんに、チョコ味をかばんちゃんに渡す。

そして手元に残ったのは――



【ジャパリパークとフィンランドの名物が夢のコラボ!!

じゃぱりまん ~サルミアッキ味~】



なんでこんな意味不明なコラボしちゃったのかなぁ……

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